2014 Fiscal Year Annual Research Report
地震メカニズムトモグラフィーによる地殻内三次元間隙流体圧場の時間発展解析
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23540493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺川 寿子 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (30451826)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 間隙流体圧 / 地震 / メカニズム解 / インバージョン解析 / 断層強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,地震メカニズムトモグラフィー法(FMT法,Terakawa et al., 2010)を発展させ,地震のメカニズム解から地殻内間隙流体圧場の時空間変化を推定し,大地震に伴う余震・誘発地震の発生メカニズムを解明することを目的としたものである.本研究では,当初計画(H23-25年度)を1年間延長し,掲げた目標をほぼ達成できた.具体的には,H23-24年度に,スイス・バーゼルの地熱貯留層での注水実験で誘発された地震データから地熱貯留層内の間隙流体圧場を推定し,FMT法の有効性を定量的に確認した(Terakawa et al., 2012, JGR).H24-25年度には,より広域な領域を対象とするために,「応力場の空間変動を考慮する機能」を開発し,名古屋大学の地震観測で得られた地震データから御嶽山周辺域の3-D間隙流体圧分布を推定すると共に,間隙流体圧場と地震発生の関係を分析した(Terakawa et al., 2013, Tectonophysics).H25-26年度には,間隙流体圧場の時空間発展解析機能を開発し,本手法をバーゼルの注水実験で得られた最新かつ高品質の誘発地震データ(Deichmann et al., 2014)に適用した.その結果,注水刺激により地熱貯留層内に間隙流体圧場が形成されてゆく様子(10日間)が初めて再現され,地震の発生における地殻流体や応力の役割を定量的に分析することが可能となった(Terakawa, 2014, GRL).一方,2011年東北地方太平洋沖地震の余震・誘発地震の発生メカニズムについて,本震前後の応力場の変化とクーロンの破壊規準に基づく地震のメカニズム解の分析を通じ,余震・誘発地震の発生に間隙流体圧の上昇による断層強度の低下は重要な役割を果たすことを示した(Terakawa et al., 2013, EPSL).
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Research Products
(4 results)