2012 Fiscal Year Research-status Report
GOCE衛星重力データを用いた南極昭和基地周辺の重力場決定とその応用
Project/Area Number |
23540494
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 洋一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30133854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野木 義史 国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90280536)
|
Keywords | GOCE / 衛星重力 / 航空重力 / 重力異常 / 重力ジオイド / 南極昭和基地 / 重力偏差計 / LSC法 |
Research Abstract |
本研究は、2009年3月に打ち上げられたGOCEの衛星重力データを利用し、南極昭和基地周辺の陸上・海洋・航空重力データを統合することで、空間波長100km以上の長波長域での格段の精度向上を図り、高精度な重力場決定を行い、そのデータを利用することで、さまざまな地球物理学的応用研究を推進することを目指している。 昨年度までに、GOCEデータの利用方法についての検討、既存の地表データの収集ならびにGOCEデータとの比較等を行い、GOCEデータをもとにした重力場モデル(EGM)を利用することとし、GOCEの初期のEGMモデルと地上データを用い、LSC(Least Squares Collocation)法によるテスト的な重力場決定を行った。 本年度は、これらを進展させ、未使用であった地表データやより広範囲な船上重力データを含めることで対象領域を拡大し、さらに使用データについてのバイアス補正等を行うことでより高精度な重力場決定を行った。その結果、十分な地表重力データが存在する領域では、formal errorとして重力異常について数mgal, ジオイド高では10 cmより良い値を得た。一方、船上重力や地上重力データには、依然、バイアスやドリフトの存在するものがあることが判明し、今後、可能な限りオリジナルのデータに遡って丁寧な補正を行う予定である。また、GOCEは当初の予定を延長したミッションが継続中であり、新しいデータを用いたEGMも追加公開される予定であることから、これらを利用した再処理も行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GOCEデータと地上データを結合し、LSC法による重力場決定およびその精度評価を行った。データの地球物理学的利用研究については、GOCEデータがまだ最終版でないことからその着手が遅れているが、重力場の決定については、現状においても同地域でもっとも高精度なジオイドおよび重力異常データが得られ、その結果を用いた地上データの精度評価から重力データの誤差の状況なども明らかになっており、これらは極めて順調に進展している。 今年度は、これらの成果を国内外の学会等で報告するとともに、諸外国でのGOCEデータの利用研究についての情報収集、関連研究者との意見交換を積極的に実施しており、ほぼ予定通りの達成状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
GOCEミッションは、当初予定を大幅に超え、現在延長ミッションを実施中で、2013年中頃~末頃まで、データの取得が続けられる予定である。特に、ミッションの最後段階では、より詳細な重力場データを得るために衛星の軌道高度を下げることも検討されており、今後、これらのデータを利用したより高精度な重力モデルが公開されるものと期待できる。 本研究の当初予定では、今年度始めにはGOCEデータを用いた最終的な重力場モデルが公開されているものと想定し、それを用いた重力場決定を行う予定であったが、以上のような状況であり、今後の方針としては、将来的により高精度な重力場モデルが得られることを前提に、重力場決定、地球物理学的応用いずれについても、その利用に向けたデータ処理方法の確立や地上データの整備を中心に進める予定である。また、最終年度として、得られた成果についての論文執筆を行うとともに、地上データについては、整理の終了したものからデータベースの構築・公開を行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の成果の取りまとめに向け、研究協力者との研究打ち合わせや、学会等での研究成果の発表、報告等を適宜行う。特に、外国での学会等に出席し、最新の情報収集ならびにこれまでの成果の報告を積極的に行う。 次年度の研究費は、基本的に、これらの会議出席、打合せ等の旅費、会議の参加料、論文投稿料等に使用する。
|