2012 Fiscal Year Research-status Report
中央構造線の深部構造と運動様式 -西南日本の地殻活動を読み解く-
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23540497
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田部井 隆雄 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (40207220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 篤規 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (60403870)
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Keywords | 中央構造線 / 地震 / 地殻変動 |
Research Abstract |
西南日本の地殻変動と地震活動を詳細に理解するために,沈み込むフィリピン海プレートの境界面の固着状態とともに,内陸の中央構造線の断層面構造とすべり様式に注目している.とくに,地域的な地殻構造が北傾斜を成していることから,中央構造線北側の燧灘や高縄半島の地震・地殻変動データが重要である.この地域の10ケ所に防災科学技術研究所高感度地震観測網Hi-netを補間する短周期・高感度地震観測計を設置し,また3ヶ所に国土地理院GPS全国観測網GEONETを補間するGPS観測点を設置し,いずれも連続観測を実施している.取得データは,周辺のHi-netおよびGEONET定常観測点データと統合した処理を行っている. 震源分布,発震メカニズム解,主応力の地域差,過去のGPS稠密観測による変位速度分布などをもとに,中央構造線の北側にある幅を持った剪断帯が形成されているとの作業仮説を立て,その検討を行った.成果を日本地震学会2012年度秋季大会(10月,函館市)と日本測地学会第118回講演会(10-11月,仙台市)において発表した.また,西南日本の広域GEONET変位速度場をもとに,南海トラフにおけるプレート間固着と中央構造線を境とする前弧ブロックの横ずれ運動,中央構造線断層面の固着・すべり分布の関係を詳細に検討し,その成果をAmerican Geophysical Union 2012 Fall Meeting(12月,サンフランシスコ市)において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度(初年度)に開始した地震・GPS観測は,今年度もほぼ欠測なく継続して実施できた.2011年3月東北地方太平洋沖地震の発生による日本列島全体の地殻変動場・応力場の変化は依然として続いており,注意深くデータを蓄積している.解析の面では,地震,GPSデータとも定常観測網データとの統合処理が進んでいる.GPSデータに関しては,携帯電話通信カードとWi-Fiルータを用いて計器をインターネットに接続し,大学からデータ収集が可能であったが,メーカーによる通信カード仕様の変更により,3点中2点のアクセスが不可能になった.この2点のデータは現地で記録・保存している. プレート間固着,前弧の横ずれ運動,中央構造線の固着・すべりの分離と推定を逐次反復的な手法で行ったが,同時推定可能なプログラムを開発中である.
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Strategy for Future Research Activity |
地震観測,GPS観測を継続してデータを蓄積することは前年度までと同様であるが,研究最終年度であり,地殻活動のモデル化を中心に作業を行う.作業仮説の検証に向け,可能な限り定常観測網データを活用する.また,成果発表を積極的に行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度へ繰越金が生じたが,年度内経費の2%以下と小額である.前年度から今年度にかけて約27万円の繰越があったため,今年度は現地へ赴く旅費や消耗品の購入に余裕が生じた.繰越金は次年度の助成金と一括して使用したい.
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Research Products
(3 results)