2013 Fiscal Year Research-status Report
斜面重力流に伴うエントレインメント及び混合過程に対する傾圧不安定渦の効果
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23540509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 潔 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20345060)
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Keywords | 海洋物理学 / 海洋科学 / 大陸棚斜面 |
Research Abstract |
斜面重力流に伴う傾圧不安定渦とそれによって生じる海水輸送過程を調べるために、海洋循環モデルで再現された傾圧不安定渦に標識粒子を投入し、海水の輸送過程を標識粒子追跡モデルで調べる数値実験を、昨年度に引き続き実施した。海洋循環モデルは非静水圧モデル(静水圧近似をしないモデル)であり、斜面重力流に伴う海水沈降という、鉛直方向の運動が大事な現象を再現するために不可欠なモデルである。非静水圧過程をモデルで正しく再現することは、斜面重力流が大陸棚斜面を沈降する際に生じる周囲の海水のエントレインメント・混合過程を正しく評価するためにも不可欠なものである。また、標識粒子追跡モデルについては、非静水圧海洋循環モデルで採用されている格子系(重力流の再現に適しているArakawa-C 格子)に対応させるとともに、常微分方程式の解法には4次精度のルンゲクッタ法を採用し高精度の追跡を実施した。 実験では斜面上方から負の浮力(正の密度偏差)を供給することで重力流を作り、回転系において重力流に生じる傾圧不安定波の振幅が有限に達して渦流への遷移するときに標識粒子を投入することで、渦内の海水流動を可視化した。海底斜面が急峻な場合と緩やかな場合についてケーススタディを実施し、渦に取り込まれて輸送される粒子の軌跡 は必ずしも軸対称な円形ではなく、そこから大きく歪められたものであることや、粒子は渦内で循環を繰り返すことで、必ずしも斜面を一方的に沈降するのではなく、斜面に沿っての上昇と沈降を繰り返しながら結果として沈降が卓越することが明らかになった。 さらに実際の日本海北西部における斜面重力流の物理過程についても検討し、2001年冬季の重力発生時には、陸棚水が約9倍容量の周囲海水をエントレイン(連行加入)していたと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非静水圧(静水圧近似をしない)海洋循環モデルで再現された傾圧不安定渦に標識粒子を投入し、それに伴う海水の輸送過程を標識粒子追跡モデルで可視化する数値実験のケーススタディを実施するに至った。また、現実海洋におけるエントレイメント過程の定量評価も実施し、その成果論文については査読付き国際学術誌に受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
成果論文の査読付き国際学術誌上で公表を完了する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の成果を著名な査読付き国際学術誌に投稿中であり、論文の受理までは至ったが、誌上での公表にまで本年度内には至らなかった。 成果論文の査読付き国際学術誌上で公表と論文掲載費の支払いを完了する。
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Research Products
(2 results)