2013 Fiscal Year Research-status Report
熱帯上部対流圏における大規模波動の伝播および増幅過程の解明
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23540512
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西 憲敬 福岡大学, 理学部, 准教授 (00222183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 順子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究副主任 (50512878)
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Keywords | 熱帯じょう乱 |
Research Abstract |
(1) 雲頂高度を中心とした雲データベースCTOPの改訂を行い、新しい版をweb上で公開することができた(http://database.rish.kyoto-u.ac.jp/arch/ctop/)。多くの改訂点があるが、その中で最も大きなものは、光学的にごく薄い巻雲の推定精度向上である。CloudSat衛星の雲レーダーによる雲頂高度直接観測と、MTSATの赤外2チャンネルデータの同時測定サンプルを用いて、MTSATだけで雲頂推定ができるテーブルを作製する時に、CloudSatが雲なし、MTSATが雲ありを示唆する問題の分析を行った。その結果、この問題は視線方向のずれに由来する観測サンプルのずれによる影響は小さく、むしろCloudSatが検出できないごく薄い雲の存在が多いためであることがわかった。そのため、両者を比較する際にCloudSatが雲なしと判断したサンプルは用いないことで対応した。この対応を含む今回の改訂を通じて、当プロダクトは安定した品質をもつ実用的なプロダクトとして、ほぼひとつの完成形となったと考えられる。 (2) 赤道擾乱の伝播にともなう上部対流圏~圏界面変動に関する研究熱帯インド洋上に同時に出現した、数日の周期をもつ2種類の赤道波によって、巻雲の出現と消滅がもたらされていることを複数のデータセットから多面的に明らかにし論文発表を行った。従来から指摘されている2週間またはそれ以上の周期をもつ波動に加え、数日周期の波動の介在によっても巻雲と水蒸気場は変動していることを観測データから見出した。さらに客観解析データから、その数日周期波動が赤道ケルビン波とn=0東進慣性重力波であることを示した。特にn=0東進慣性重力波による巻雲変動への寄与については、初めての事例報告となり、上部対流圏~圏界面変動を解明する上で、短周期波動に注目する必要があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体のバランスは、研究の進行につれてかなり変化したので、交付申請時の研究内容とは必ずしも一致してない。雲データベースおよびそれを用いた研究に大きな重点が置かれたので、その分野では当初の計画を越えて進んだ面がある。一方、熱帯波動の解析については、雲データベースの作成を優先したために、計画時に予定した解析が行えなかった面がある。雲データベースおよびそれを用いた解析では、論文発表や国際学会発表も十分に行えたと思われる。これらを総合すると、全体的にはほぼ順調に進行したという評価が妥当だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
雲データベースを用いた熱帯じょう乱の統計的研究を完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、雲頂高度データベースの改良を行い、その結果を用いた統計的解析を行って発表する予定であったが、改良が想定したものより大がかりなものだったために、25年後半までその作業にかかった。 雲データベースを用いた統計的解析を継続する。また、その結果を学会発表。このための少額の消耗品と国内旅費の使用を予定している。
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Research Products
(7 results)