2011 Fiscal Year Research-status Report
関東平野に突風をもたらすシビアストームの発生機構に関する研究
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23540518
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
益子 渉 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (30354476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 洋 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (00354522)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 竜巻 / シビアストーム / 突風 / 気象学 / 自然現象観測・予測 / 自然災害 |
Research Abstract |
関東平野では、他の地域に比べて竜巻の発生頻度が高く、甚大な被害がもたらされることがある。しかし、その竜巻の発生環境場や発生機構については未だ明らかにされていない。そこで本年度は、関東平野で発生する竜巻の環境場の特徴を明らかにするために、1961年以降に発生した竜巻を対象として、最新の気象庁竜巻データベースやアメダス、ウィンドプロファイラなどの観測データを用いて、統計的に調査を行った。 その結果、関東平野では竜巻の発生頻度が全国平均に比べて約2倍と高く、その内42%が海岸線から10km以上の内陸部において発生していることが明らかになった。竜巻の強度については他の地域よりも強いものが多く、総観場においては寒冷前線に伴うものが少なく台風に伴って発生するものが多いことなどが示された。メソスケールの特徴としては、関東平野特有の気流系によって、温度傾度と風向の変化を伴った局地前線の影響を受けやすいことが明らかになった。また、2011年11月18日に徳之島で発生した竜巻について、発生環境場と積乱雲の特徴について関東平野で発生する竜巻と比較を行った。その結果、時計回りに変化する下層の大きな鉛直シアが特徴でスーパーセルが発生しやすい環境場であり、局地前線の影響を強く受けた関東平野の典型的な竜巻とは異なることが明らかになった。 その他、過去の顕著な事例である2009年台風第18号に伴う土浦・竜ヶ崎竜巻について、気象研究所に保存されている4次元変分法で作成した解析データを用いて、水平解像度40mの高解像度実験を行い、現実場に近い状態で再現を試みた。竜巻スケールの渦や地表付近の局地前線が実況に近いかたちで再現できていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の1つである関東平野で発生する竜巻の環境場の特徴を統計的に明らかにした。また、高解像度数値シミュレーションによる顕著事例の再現実験を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年5月6日につくば市に甚大な被害をもたらした竜巻など、これまでに関東平野で発生した顕著な突風事例について、気象研究所に設置されている2重偏波ドップラーレーダーによる詳細な観測データや現地調査資料、地上観測データ、そして高解像度数値シミュレーション結果を用いて突風をもたらした親雲の特徴や竜巻の発生過程について明らかにする。その他、関東平野で発生する竜巻と比較するために、他の地域で発生した顕著な竜巻(2011年11月18日に徳之島で発生した竜巻など)の事例についても、環境場やストームの特徴を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに得られた成果について、国内学会や国際学会において発表するため、大会参加費や旅費として使用する。研究初年度の成果は次年度の成果と合わせて、ある程度まとめた形で発表する方が望ましいため、初年度の海外旅費の繰り越し分を合わせて使用する。また、数値シミュレーションデータや観測データを作図するためのPCソフト等を購入する。
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Research Products
(4 results)