2013 Fiscal Year Annual Research Report
エルニーニョ発生機構の解明:沿岸湧昇と高山山脈に着目した高解像度気候モデル研究
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23540519
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 拓也 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (40466256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美山 透 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (80358770)
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Keywords | エルニーニョ / 大気海洋相互作用 / 沿岸湧昇 / 気候モデル |
Research Abstract |
ニューギニア沿岸湧昇が西風バーストを強化しているという仮説を検証するため、以下の活動を行った。全球大気海洋結合モデル(SINTEX-F2) の150年間の長期出力を解析することによって、沿岸湧昇が先行するエルニーニョ(湧昇先行型エルニーニョ)と沿岸湧昇が先行しないエルニーニョ(非湧昇先行型エルニーニョ)の二種類のエルニーニョがモデル内で見られることを確認した。さらに、この二種類のエルニーニョの空間分布等を調べた結果、湧昇先行型エルニーニョは、観測データで見られるエルニーニョもどきと類似する特徴を示していた。一方、非湧昇先行型は、1950年代から60年代に発生した東部赤道太平洋を西向きに伝播する海面水温を伴う弱いエルニーニョと類似していた。湧昇の有無とエルニーニョタイプの関連を示唆する結果であり、本成果を学会で発表し、国際誌への投稿準備を進めた。 さらに、西太平洋暖水プール域に領域大気モデル (iRAM)を設定し、2001/2002年冬期をケーススタディーとして実験を行った。様々なSSTを入れ替えた対照実験により、湧昇による温度勾配の西風強化に対する貢献を定量的にしめすことが出来た。くわえて、領域海洋モデルを用いて、湧昇で強化される西風が海洋ケルビン波による応答に大きく貢献していることを確かめた。結果は学会で発表し、さらに査読付き論文において誌面発表を行った。 2014年の冬/春季に沿岸湧昇を伴う西風バーストが発生しており、気象庁やNOAAが2014年夏季におけるエルニーニョ発生を予測している。本研究は、このような現在進行形の現象に対しても注目すべき視点を提供できた。また、領域モデル同士を結合し、大気海洋結合モデルとして完成させ、海面温度がパプアニューギニア周辺の降水量などに影響があることを確かめた。この結合モデルは今後の西太平洋の大気海洋結合研究の資産として利用可能である。
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Research Products
(10 results)