2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23540526
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鴈澤 好博 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40161400)
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Keywords | OSL年代測定 / 断層年代測定 / 石英 / 跡津川断層 |
Research Abstract |
報告者はOSL法による活断層年代測定のための基盤研究を進めた.これまでこの目的のため,ESR法やFT法が用いられてきたが,シグナルリセット温度が高いため,期待年代に対してかなり古い年代しか得ることができなかった.本来OSL法は,シグナルが光によりリセットされるので,堆積物の年代測定法に利用されるが,報告者は石英のOSL が熱に極めて敏感(300℃x20秒でリセット)であることに注目した.同時にUV-TL法による熱評価の基礎実験を進めた.この実験のため用いるOSL測定装置の改良を進め,旧装置に比べ感度を2.5倍まで上昇させることができた. アニール実験からOSLのFC (速成分)とTLのシグナル消失条件を検討したところ,OSLでは300℃,20秒で,UV‐TL270℃領域では300℃,12~30秒で消失した.トラップ寿命の評価でも,同様な結果が得られた.このことからOSL法は活断層年代測定において他の年代測定法に比べ,熱に対してきわめて敏感であり,したがって年代測定に極めて有効であることが示された。また,天然石英のUV‐TL270℃領域は再生照射した同じ領域と比較し減衰しており,この領域が断層の熱で一部消去されていると推定された. LM‐OSL分析から測定石英は速成分に卓越するF型とそうでないdim-F型に区分された.ドーズリカバリーテストからF型の線量復元能力が高いことが示され,このタイプのみがOSL年代測定に有効であることが示された.実際のOSL測定ではこのタイプの石英の全体に占める割合は少なく測定効率は良くなかった.跡津川断層から採取されたF型石英を持つ80アリコットから得られた単純平均年代は0.2 ± 0.2 kaで,これは飛越地震(1858年)によく一致した.このことからOSL法は活断層年代測定に有効であることが示された.
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