2014 Fiscal Year Research-status Report
地震に伴う平野の地滑り:地滑り堆積物の特徴とその発生メカニズムの解明
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23540533
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90303809)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / ネパール / 地滑り / 巨大地震 / 三角州平野 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は野外調査を主体として研究を行い,年度の後半には国際紙への投稿論文を作成した.野外調査に関しては,当初の計画通り,(1)ネパール・カトマンズ盆地と(2)岐阜県の東海層群の調査を実施した.(1)カトマンズ盆地の調査においては,これまでに調査を実施してきた層準とは別の層準を対象として調査を実施した.その結果,カトマンズ盆地東部において,およそ2万年前から1万7千年前に堆積した地層の中に,地震に伴って変形を被ったと判断される層が12層見つかり,そのうちの6層に地滑りの起きた痕跡が認められた.これまでの調査結果と同様に,地滑りを起こした層の基底に液状化した地層が見つかったほか,地滑りをした泥層の中に,高密度の泥水が注入されている様子がほぼすべての層で見つかった.こうした地層の特徴はこれまでに報告例がないため,泥水の注入が起きた原因とそれが地滑り発生へどのように影響したかを今後,調べる必要がある.(2) 東海層群の地層については,これまでに調査した地層のより上位の地層について調査を実施,地滑り堆積物の特徴の把握を試みた.地滑りの滑り面とおぼしきものは多く発見されたが,地滑り堆積物そのものが非常に薄く,記載にあまり適さないことがわかった.実験的研究については,液状化の発生については成功しているが,地滑りの発生には成功していない.もう少し堆積物に粘性の高い粘土を混ぜるなどの工夫が必要であると判断される.研究成果の一部について,投稿論文を作成した.投稿先は災害に関係する専門誌であるGeoenvironmental Disastersとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに平野環境の堆積物に見られる地滑り堆積物のおおまかな特徴は把握でき,今年度はこれまでに報告事例のない堆積物が新たに発見された.よって今後の研究につなげることのできる成果が得られた.実験的研究は現状では平野部分での地滑り発生には成功しておらず,遅れ気味である.調査結果を投稿論文としてとりまとめることができるレベルまで達した.このため,研究全体としては,おおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度とりまとめた投稿論文は次年度の早期に投稿し,受理を目指す.次年度はこの科研の最終年度となる.これまでのデータをすべてとりまとめ,別の投稿論文の作成を実施する.今年度,泥層中に見つかった新たな構造の形成を理解するため,泥質堆積物の破壊に関するレビューを次年度の前半に行う予定である.そのレビューの成果を踏まえて,カトマンズ盆地の野外調査を可能な限り実施したい.
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