2015 Fiscal Year Annual Research Report
地震に伴う平野の地滑り:地滑り堆積物の特徴とその発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
23540533
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90303809)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / ネパール / 三角州平野 / 巨大地震 / 地すべり / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度までの成果を受けて,データのとりまとめ,論文作成・投稿の継続を行った.昨年度の研究成果の1つしてカトマンズで発生する地震に伴う液状化,三角州平野において地すべりが発生することに関する論文の作成・投稿を行ったが,2015年4月25日に発生したネパール地震の影響を受け,論文の内容の書き換えを行い,再び投稿を行った.年度半ばの11月に出版された.これまでに得られているデータ等のとりまとめの結果として,(1) 地すべり発生に関して,地下の堆積物が液状化,流動化することが重要であることがわかった.それを引き起こした原因の1つに,長期間地表付近にさらされた堆積物が乾燥などにより,地下の堆積物よりも固結したことが重要である可能性が示された.それを引き起こした原因の1つとして,長い乾期をもたらす季節的な気候が考えられる.(2)今回の研究の副産物ではあるが,泥層が液状化・流動化した層が最も良く地層に保存されている地点の情報から,液状化・流動化を引き起こすような規模の地震(おおよそMw5以上)がおおよそ250年,あるいはそれよりも短い周期で発生したことが示された.これは既存の地震記録とも矛盾しない情報である.カトマンズ盆地においては5万年前から1万年前の間に少なくとも2回,地すべり域が数100m2を越える範囲に及ぶ,規模の大きな地すべりが発生したことがとりまとめられた.成果のとりまとめたものについて,日本惑星科学連合大会のネパール地震緊急セッション,ならびに日本堆積学会福岡大会において講演を行った.
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