2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能琵琶湖古環境変遷記録との対比による東アジアモンスーン変動メカニズム解明
Project/Area Number |
23540536
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井内 美郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00294786)
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Keywords | 水収支 / 気候変動 / 湖沼 / 堆積物 / 生物源シリカ / 音波探査 / 琵琶湖 / 野尻湖 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物源シリカ濃度測定による東アジアモンスーン変動の復元および音波探査記録の解析から湖水面高度変動史解明そして東アジア地域の様々な高精度古環境プロキシーとの比較によって、東アジアモンスーンの変動メカニズム解明を目指すというものである。2013年度には2012年度に採取したピストンコア試料について高時間分解能で粒度分析および全炭素・全窒素濃度測定を実施し、すでに同種の分析を実施している高島沖ボーリングコアの分析結果プロファイルと比較することによって高島沖ボーリングコアの新たな年代モデルを確立した。また、琵琶湖愛知川河口沖のユニブーム音波探査記録を入手し、解析の結果、過去5万年間に4回の湖水面低下の証拠となるデルタローブの前進堆積様式を確認した。これらの成果と東アジアおよび東太平洋赤道域の様々な古気候変動記録および北半球低緯度・中緯度・高緯度地方の月別日射量の経年変動との対応を検討し、次期研究課題(2014~2017年度:採択)に繋がる作業仮説を確立することができた。今回の課題実施によって、琵琶湖における生物源シリカ濃度は北緯35度9月・10月の日射量変動との相関が良いことが明らかになり、珪藻の秋季ブルームの強弱に強く影響されていることが明らかになった。一方、愛知川河口周辺域の音波探査記録およびボーリング試料の含砂率変化から過去5万年間に顕著な湖水面変動が4回以上確認され、生物源シリカ濃度や全炭素濃度の変動にも年間降水量の変動が大きく影響していることを明らかにした。年間降水量増減の原因として、従来は偏西風帯のシフトによる気候変動が考えられてきた(「東西説」)が、暖海水の北上に伴うモンスーン前線帯の南北シフト(「南北説」)によってそれが生じたという仮説が考えられた。さらに、その原因として東部太平洋赤道域の日射量年較差の変動が大きく作用しているとの作業仮説を提案した。
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