2013 Fiscal Year Annual Research Report
高圧変成岩の上昇プロセスの解明:中新統礫岩中のジルコン年代測定による検討
Project/Area Number |
23540537
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高木 秀雄 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60154754)
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Keywords | 三波川帯 / 礫の年代測定 / 高圧変成岩の上昇過程 / ジルコン / フィッショントラック年代 / U-Pb年代 / K-Ar年代 |
Research Abstract |
2013年度は,高知県安芸市大山岬南部の四万十帯南帯において,大山岬層中の結晶片岩礫を採取し、ジルコンと白雲母を抽出,ジルコンのフィッショントラック(以下FT)年代測定を実施した.また、愛媛県久万高原町に分布する始新統ひわだ峠層中の結晶片岩礫を再度採取し,ジルコンのFT年代測定を追加するとともに、ひわだ峠層と中新統久万層群(古岩屋層)中の結晶片岩礫のジルコンについて、ナノシムスを利用してU-Pb年代測定を実施した。その結果、次のことが明らかになった。 1. 大山岬層中の結晶片岩礫2試料のジルコンFT年代は,67.3, 68.4Maとなった(ただし誤差は±8-9Ma).これらの年代は,従来報告されているフェンジャイトのK-Ar年代(78.2-71.4Ma)と調和的である一方,同じ古第三系のひわだ峠層中の結晶片岩礫の年代よりも若いことから,隆起・削剥の履歴が異なることが明らかとなった. 2.ひわだ峠層中の結晶片岩礫のジルコンfT年代は,90.0Ma(今回の結果),および85.2Maであるのに対し,中新統古岩屋層中の結晶片岩礫のジルコンFT年代は68.7Ma,64.9Maであり,同じ試料から得られているフェンジャイトK-Ar年代における両者の差よりも大きな差が得られている.このことは,中新世の地層中の礫の源となる結晶片岩の冷却速度が始新世のものに比べて小さく,両者の堆積年代の違いを支持している. 3.ジルコンのU-Pb年代のうちの最も若い年代を比較すると,ひわだ峠層で94.3Ma, 古岩屋層で91.2, 95.4Maとなり,差異は認められない.三波川変成岩礫のもとの岩体の原岩の堆積年代は,白亜紀となり,四万十帯の付加体に対比される. 今後は大山岬層中のジルコンと,フェンジャイト年代を追加し,さらに関東山地の礫岩中からのジルコンの抽出も試みて,最終的にまとめる予定である.
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[Journal Article] Geological framework and fission track dating of pseudotachylyte of the Atotsugawa Fault, Magawa area, central Japan2013
Author(s)
Takagi, H., Tsutsui, K., Arai, H., Iwano, H. and Danhara, T
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Journal Title
Island Arc
Volume: 22
Pages: 318-337
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