2013 Fiscal Year Research-status Report
河川砂礫堆の3次元形成ダイナミクス:水路実験と現世堆積物のGPRによる融合
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23540538
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
熊代 浩子 (岡崎 浩子) 千葉県立中央博物館, その他部局等, 主席研究員 (10250135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10392630)
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Keywords | GPR(地中レーダ) / 3次元解析 / 河川堆積物 / 砂礫堆 |
Research Abstract |
現世砂礫堆のGPR断面特性を把握するために,網状河川のGPR調査を2012年に引き続き実施した.今年度は新たに地形条件の異なる流域での砂礫堆調査を加え,3つの砂礫堆のGPR断面を求め,その形成過程に与える地形条件を検討した.調査対象は静岡県の安倍川で,安倍川は流路延長51km,勾配1/250~1/30でほぼ直線的に南へ流れ,土砂供給が多く河床変動の大きい河川である.また,調査地域では2011年秋に10年来となる大洪水により河床の大規模な堆積が記録されている(静岡河川事務所,2012). 用いた地中レーダはPulseEkkoPro(S&S)で,250MHzのアンテナを使用した.反射面の形態からは特徴的ないくつかのGPR堆積相が抽出された.これらは既存研究の堆積相と類似する.各地点での堆積相の分布からは異なる地形条件に対応する砂礫堆の発達様式が見いだされた.すなわち,中流域の交互州では,洪水時のチャネル侵食・埋積や尾部でのスクロールバーの付加などが認められた.また,下流域で河岸へ張り出した山の背後(“死水域”)にある州では洪水時の一時的な河道の回り込みが推定された.河口近くの複列州では,洪水時の活発な州の前進と側方付加が認められた.このような砂礫堆の発達の相違は地形条件,特に河道の安定性に求められた. これらの結果からは,河川の大小・地形条件などに関わらす砂礫堆に共通なGPR堆積相が認められること,また,その分布から推定される堆積様式には河道の安定性が反映されることなどから,GPR断面による河川砂礫堆の3次元ダイナミクス解析の有用性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の24年度以降の研究計画では現世河川砂礫堆のGPR探査とOSL年代測定を実施する予定であったが,対象とした砂礫堆は礫がちでOSL年代測定には不向きであった.しかし,本河川(安倍川)では記録的な洪水とそれによる堆積がおこり,洪水前後の調査が詳細に行われていることから,その河川断面の変化から調査堆積物の堆積時期が推定できた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果から河川砂礫堆のGPR断面特性が明らかになった,また,その地形条件との対応も推定された.これらにより,実験堆積物の解析要素が明確になり,今後は河道地形や粒度分布などより焦点をしぼった実験を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画で,実験堆積物の解析を先に行う予定をたてたが,その計測要素をしぼりきれなかったため予備実験でとどまった.そのため,実験補助の人件費,計測機器の借用料およびデータ解析委託料を大幅に繰り越した.それに対して,本年度までの現世堆積物のGPR調査は当初の計画よりもスムーズで人件費が計画よりも少なくすんだ.また,現世堆積物の年代測定委託は,調査対象河川は河床材料が年代測定に不向きであるここと,既存の観測データでおおよその堆積時期の推定ができることから実施しなかった.以上の結果から次年度使用額が生じた. 本年度までの現世堆積物のGPR調査結果をとりまとめて,国際学術誌へ論文投稿する.必要な場合は現世堆積物の補足調査を行う.本年度までの現世堆積物のGPR調査結果をふまえて,実験堆積物のGPR測定のための水路の検討と水路改良をおこなう.それにもとづき実験堆積物形成とそのGPR測定の実施.
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Research Products
(3 results)