2011 Fiscal Year Research-status Report
地中レーダーを用いた地震性バリアーシステムの堆積様式の解明
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23540539
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
七山 太 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (20357685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 竜太 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (60357928)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バリアーシステム / 風蓮湖 / 海溝型巨大地震 / 海進期堆積体 / 完新世海面変動 / 千島海溝 / 春国岱バリアー島 / 走古丹バリアースピッツ |
Research Abstract |
オホーツク海に面した風蓮湖周辺には,海進期に特徴的な春国岱バリアー島,走古潭バリアースピットおよび風蓮湖ラグーンの構成する完新世バリアーシステムが認められる.しかし,この地域の海面変動に関する研究は滞っている.その一方で,2003 年以降,釧路~根室沿岸域では500 年間隔で発生した巨大地震の存在が明確になり,巨大地震時(もしくはその後)には1~2m隆起し,逆に現在は8.5mm/年の速さで沈降してきたことがわかっている.一般に海進期バリアーシステムが作る堆積シークエンスは,海面上昇に伴うバリアー(島)の海→陸方向への単純な移動によって特徴づけられ,バリアー(島)の接近にともなって外洋側からの粗粒堆積物の供給が増加し上方粗粒化浅海化シークエンスを示すことになる.しかし現在の風蓮湖を見た場合,バリアーが周期的に外洋側にシフトしているように見え,単純な海退モデルの当てはめだけでは説明できない.平成23年度,初年度研究として衛星写真判読と現地踏査による地形学的検討を行った.春国岱は根室海峡に沿って北西方向から運ばれた沿岸漂砂が根室半島に遮断され堆積して出来た我が国唯一のバリアー島である.島の両端に2 箇所の潮流口があり,風蓮湖ラグーンと外洋間で海水の交換があり,この潮流によって上げ潮および下げ潮三角州が生じている.春国岱は3列の浜堤列から構成され,陸側ほどその標高は1~2m 程高く樹木に覆われて生成年代も古いと推測されていた.メインの潮流口を隔てて対岸に位置する走古潭は西別川河口から分岐砂嘴をなしており,春国岱の3 列の浜堤の北方延長部を含む5列の浜堤が認識できる.風蓮湖周辺では過去に掘削調査が行われた事例が少なく,主に浜堤間低地の30地点で掘削調査を行った結果,道南や道東の火山灰層が多数発見され,繰越金を使ってAMS14C年代測定とあわせて分析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月11日東日本大震災によって,産業技術総合研究所つくば研究センターも大きな被害を被り,未だ復興途中にある.科研費の採択報告も6月にずれ込んだため,道立公園内の調査申請のため根室市,別海町および北海道根室振興局の話し合いが遅れ,調査時期が大幅に遅れた.但し,10月下旬の地形や掘削調査では様々な新規発見があり,特に道南や道東起源の未知の火山灰層が複数発見された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は夏に風蓮湖の湖底掘削調査と秋に春国岱・走古丹での地中レーダー探査を行う予定である.残りの2年間で,千島海溝の地震テクトニクスによって規定され発達してきたであろう風蓮湖バリアシステムの地形学的研究を当初の予定通り行っていく所存である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,前年度の繰越予算を含めて,6月と11月に調査を考えている.6月には風蓮湖の湖水域の採泥調査を行う.11月には春国岱バリアー島と走古丹バリアースピットにおいて地中レーダー探査実験を行う予定である.
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Research Products
(4 results)