2011 Fiscal Year Research-status Report
植物由来有機分子分析による白亜紀温室期の古植生変動の高精度復元
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23540542
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
沢田 健 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20333594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 礼詩 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (00374207)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 古植生解析 / 陸域環境変動 / バイオマーカー / 抵抗性高分子 / 植物化石 / 白亜紀 / ケロジェン / 被子植物進化 |
Research Abstract |
本研究は、白亜紀堆積層に含まれる陸上植物由来の生物指標分子(バイオマーカー)と抵抗性高分子(難分解性ポリマー)の分析から、長時間スケールの古植生の年代変動を高精度に復元し、さらに植生データを介して白亜紀の陸域環境変動を推定するものである。白亜紀の温室気候下での環境変動に対する陸域生態系の応答と、陸域生態系が関わる生物地球化学的循環の解明という観点からも、体系的で定量性の高い古植生の年代変動記録の復元を目指す。また、植物化石や植物起源の不溶性有機物(ケロジェン)の抵抗性高分子分析による古植生解析を実用段階まで進めることを目標としている。平成23年度の研究成果は以下のとおりである。1.北海道大夕張地域、三笠、苫前地域等に分布する空知層群~蝦夷層群の堆積岩および植物化石片を採集した。それらを試料としてバイオマーカー分析を行い、芳香族被子/裸子植生指標(ar-AGI)を用いて古植生変動を復元した。その結果、特にシューパロ川層(Albian相当)において被子植生の拡大を示すようなイベントを見出した。2.申請者らが先行研究において開発した、植物化石の抵抗性高分子をアルカリ加水分解して得られる分子ユニットの組成分布を用いた化学分類指標を、上述の蝦夷層群堆積岩から分離した陸上植物起源ケロジェンに応用した。その結果、加水分解性脂肪酸ユニット組成の年代変動が、ar-AGIなどのバイオマーカー指標で得られた古植生変動とほとんど同調することがわかった。これは、白亜紀堆積岩の抵抗性高分子分析による古植生解析が実用できることを示唆する重要な成果である。3.本科研費で設置されたキューリーポイントパイロライザー(2012年1月設置)を使用して、上述の蝦夷層群堆積岩から分離した陸上植物由来ケロジェンの熱分解分析を開始した。この結果と化学分解成分分析の結果の体系的な比較を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白亜紀堆積層の陸上植物バイオマーカー分析による古植生解析は、おもに大夕張地域の蝦夷層群においてAptianからCenomanian層準まで進んでいる。また、同じ試料から分離した植物起源ケロジェンの抵抗性高分子分析による古植生解析を試み、加水分解性脂肪酸ユニットの組成分布からバイオマーカーの結果と同様な古植生変動が得られることがわかった。これは抵抗性高分子の古植生解析を実用段階まで進めることができたといえる。ただし、その抵抗性高分子の加水分解性脂肪酸ユニット指標には、高分子の分解反応の効率、植物部位における多様性、続成変化の影響など多くの検討すべき問題もある。 さらに、申請していたキュリーポイントパイロライザーを設置し、植物起源ケロジェンの熱分解分析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
白亜紀堆積層の陸上植物バイオマーカー分析による古植生解析を、苫前地域と朱鞠内地域の蝦夷層群においてCenomanian層準より上位の地層において高分解能で実施する。これら両地域の堆積物はきわめて未熟成の有機物を含むことから、豊富なバイオマーカーデータが得られることが期待される。 植物起源ケロジェンの抵抗性高分子分析においても、上述の地域で応用して古植生指標としての適用性を検討する。また、多くの植物化石を使った確認実験も行い、高分子の分解反応の効率、植物部位における多様性、続成変化の影響などについて検討する。 植物起源ケロジェンの熱分解分析を継続し、抵抗性高分子、とくにリグニン様フェノールユニットに着目して熱分解成分による古植生解析法の開発・検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大型機器の購入予定はなし。研究費は、消耗品代として有機地球化学分析に用いる試薬類やガラス器具類、熱分解分析のためのパイロフィルムなどの費用に使用する。交通費・宿泊費として、北海道苫前・朱鞠内地域の地質調査と堆積岩試料採取のための費用、国内での学会参加のための費用として使用する(例えば、地球化学会年会(九州大学))。また、論文の投稿のための費用、別刷り代としても使用する。平成23年度未使用額(92870円)の発生理由は、年度内に発注した消耗品等が、平成24年3月31日時点で納品されたのみで、支払が済んでいなかったため。したがって、平成24年4月1日以降でそれらの支払が行われ、未使用額がすべて解消される。
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Research Products
(30 results)