2012 Fiscal Year Research-status Report
東アジア東縁のジュラ紀-白亜紀の微化石相および海洋古環境解析
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23540547
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柏木 健司 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (90422625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
伊左治 鎭司 千葉県立中央博物館, その他部局等, その他 (40280747)
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Keywords | 手取層群 |
Research Abstract |
本邦のジュラ-白亜系の浅海成層(手取層群・銚子層群等)を対象に、堆積相解析と微化石群集の検討を実施した。さらに、堆積環境の高精度把握を目的として、三次元的な堆積構造を把握可能な新生界堆積岩(物)についても詳細な検討を実施した。その過程で、浅海性微化石群集が多様なタクサ(放散虫・底生及び浮遊性有孔虫・二枚貝原殻・海綿骨針・イクチオリス等)で構成されていることを明らかにし、手取層群のうち微化石が未報告な地層中に微化石の産出を確認した。 手取層群では、軟体動物化石群集が多産する際下部白亜系御手洗層(Berriasian)から、極めて保存不良であるものの有孔虫化石を初めて確認した。本層は、アンモナイトに基づく詳細な時代決定がなされており、今後、多様な微化石相に基づくBerriasian期における東アジア東縁の海洋古生物地理の解明が期待される。 手取層群桐谷層(ジュラ紀新世Oxfordian)では、テチス海域から古太平洋海域への浮遊性有孔虫化石の進出を明らかにする為、追加試料の探索とより高精度な放散虫化石時代の決定を試み、現時点で全二個体の浮遊性有孔虫化石を得た。これまで、本層の団塊と生痕化石を含む二十数試料を対象に処理を進めているものの、浮遊性有孔虫化石は注意深く探索しているものの極めて希である。この点は、桐谷層に含まれる浮遊性有孔虫化石が、テチス海域から古太平洋海域への初期開拓者であった可能性を間接的に示唆しており、極めて興味深い。 銚子層群(白亜紀古世Barremian-Albian)では、現時点で放散虫化石を得るに至っていない。今回、被服層である鮮新統名洗層の基底礫岩層中の石灰質団塊礫中に、白亜紀古世を示す放散虫化石群集に加え、イクチオリスが豊富に含まれていることを確認した。白亜紀におけるイクチオリスの産出は希であり、今後、本邦白亜紀軟骨魚類相の一端の解明が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の流れは、野外調査に基づく堆積相の把握と微化石検討用試料の採取に始まり、実験室内における化学的処理を経て、得られた微化石群集を対象とする時代決定と群集解析に至る。その為、微化石群集を含む試料を得ることが第一義的に研究の成否を左右し、さらには化石の保存状態はその後の時代論と古生物地理論の解析に際して、本質的に重要な要素となる。また、試料採取に際しての堆積環境の把握も、議論に際して重要となる。 我々はこれまで、手取層群を含む浅海成中生界を対象に、本邦の各地に赴いて野外調査と試料採取、微化石処理を実施し、幾つかの新知見を得るに至る一方で、成果を得られなかった地層も多い現状にある。また、桐谷層を対象とする浮遊性有孔虫化石の検討に代表されるように、多量の試料を繰り返し処理しているにも関わらず、対象とするタクサの産出が極めて少ない事例もある。さらには、イクチオリスのように予想外の微化石タクサの産出もあり、別途、国内外の専門家との議論等が必要である。 研究の進行状況は現時点で遅れ気味であるものの、これまでの基礎研究により、微化石含有相も把握できつつある。「やや遅れている」との自己評価ではあるが、残り1年間における研究のまとめを行うにあたっての準備は、2年間を通して十分にできたと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
手取層群のうち、御手洗層と貝皿層の堆積相と古生物地理の解明を進めるとともに、桐谷層については浮遊性有孔虫化石のさらなる抽出を実施する。また、多様な浅海性タクサについても、国内外の専門家と連絡を取り合い、古生物学的な解析を行う。 御手洗層については、先ずは保存良好な微化石群集の抽出に努めるとともに、大型軟体動物化石相との時代・古生物地理の対比を行う。即ち、御手洗層からの微化石の産出は現時点で団塊に限られ、しばしば強風化を受けていることも、微化石の保存状態が悪い原因と判断している。その為、より新鮮な試料の採取が必要である。貝皿層は、堆積相解析を進めるとともに、微化石用試料の採取に努め、微化石相に基づく初期手取堆積盆の古生物地理の位置づけを明らかにする。また、複合タクサの時代対比において、放散虫化石とアンモナイト化石の対比も同時に行いたい。 紀伊半島と銚子地域の浅海成層の調査を継続するとともに、学会出席時の際に適宜、関連する地層の予察的な調査と試料採取も実施したい。特に、同時代で古生物地理が大きく異なると想定される地層同士における群集比較は、当時の古海洋地理を明らかにする上で重要である。 放散虫以外の浅海性タクサについては、日本古生物学会や海外の微化石コミュニティと連絡を取ることで、同定から時代論、古生物地理論へと発展させたい。このうち、有孔虫については共同研究者の長谷川が、二枚貝原殻については伊左治が検討を進めている。 研究成果は、国内外の学会で発表するとともに、現在、手取層群(有峰層・貝皿層)の成果については論文を査読ないし執筆中である。また、桐谷層産の浮遊性有孔虫化石についても、情報収集も含めて準備中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画を以下に示す。旅費は、野外調査と学会活動で使用する。野外調査は、手取層群を中心に実施し、適宜、紀伊半島と銚子地域の海成ジュラ-白亜系を対象とする。主たる野外調査は秋季までに終了予定であるが、適宜、必要に応じて2014年1~2月頃までは調査を実施する可能性がある。学会は、国内では日本古生物学会や日本地質学会等に出席するとともに、海外では堆積・珪質微化石・白亜紀に関連する国際研究集会での発表(全て2013年内)を予定している。 野外調査の際に採取した試料の微化石処理は、出来る限り人件費・謝金(学生によるアルバイト)にて対応するとともに、岩石薄片の作成は専門業者に外注に出す。岩石試料の破棄(微化石処理で発生する試料等)に掛かる経費は、その他で対応したい。また、微化石解析に際して使用する備品(セム試料台・実体顕微鏡備品・シャーレ等)や薬品(フッ酸・過酸化水素水・塩酸・硝酸等)等は物品費で対応したい。論文の英文校正は適宜、専門業者に依頼する(2013年度前半までに対応予定)。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Strontium and carbon isotope stratigraphy of the Late Jurassic shallow marine limestone in western Palaeo-Pacific, northwest Borneo2013
Author(s)
Kakizaki, Y., Weissert, H. J., Hasegawa, T., Ishikawa, T., Matsuoka, J., Kano, A
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Journal Title
Journal of Asian Earth Sciences
Volume: 73
Pages: 57-67
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Carbon isotope stratigraphy and depositional oxia through Cenomanian/Turonian boundary sequences (Upper Cretaceous) in New Zealand2013
Author(s)
Hasegawa, T., Crampton, J., Schioler, P., Field, B., Fukushi, and K. Kakizaki, Y.
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Journal Title
Cretaceous Research
Volume: 40
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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