2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア東縁のジュラ紀-白亜紀の微化石相および海洋古環境解析
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23540547
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柏木 健司 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (90422625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
伊左治 鎭司 千葉県立中央博物館, その他部局等, その他 (40280747)
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Keywords | 手取層群 / 銚子層群 / 那珂湊層群 / 放散虫化石 / 海綿骨針 / 珪藻化石 / ジュラ紀 / 白亜紀 |
Research Abstract |
中生界浅海成層を対象に、野外調査と微化石相の検討を進めた。対象は、手取層群(ジュラ紀中世~白亜紀古世)に加え、銚子層群(白亜紀古世後期)、那珂湊層群(白亜紀新世後期)、およびイギリスとインドの中生界浅海成層である。また、研究成果を適宜、国内学会と国際会議で公表した。 手取層群では、桑島層と上半原層で新たに、放散虫化石を含む多様な微化石相を確認した。ただし、放散虫化石は極めて保存不良で、とくに桑島層では殻自身が変質で粘土鉱物化を被り、岩石薄片下で仮像としてのみ確認できる。また、上半原層産の放散虫化石は、殻全体が黄鉄鉱で置換され、殻表面の微細な装飾の観察は困難である。なお、桑島層では海綿骨針が、上半原層では二枚貝や巻貝の原殻が産するなど、白亜紀当時の微化石相の一端を知る上で重要なデータが得られた。 銚子層群では、鮮新統の名洗層中に含まれる銚子層群起源の礫中の放散虫化石を、論文として公表した。さらに、銚子層群から採取した2試料から、新たに放散虫化石を得た。このうちの1試料から産した放散虫化石は、アンモナイトの示す時代に整合的である。 那珂湊層群では、保存不良の為にさらなる見当が必要であるものの、多量の珪藻化石?が得られている。本邦における白亜紀珪藻化石の産出は、これまで数例に留まっており、従来の報告と同様、この産出事例は本邦における最古級の珪藻化石の産出報告となる。なお、放散虫化石はわずかな産出に留まっているものの、主として円盤状のSpumellariaのみが産出し、いわゆる浅海生放散虫化石群集に相当する。 今回、岩石試料に対して様々な薬品(フッ酸・塩酸・ギ酸・過酸化水素水)を試行し、これまで微化石の報告の皆無であった地層から、微化石の抽出に成功した。ただし、薬品の適否は個々の試料の鉱物組成や構造に依存し、一つの試料に対して様々な処理法の試行が、微化石抽出に有効である。
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Research Products
(9 results)