2011 Fiscal Year Research-status Report
アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすタンパク質の影響の定量評価
Project/Area Number |
23540561
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 元治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80224814)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 溶解速度 / アモルファスシリカ / 有機分子 / タンパク質 / BSA / アミノ酸 |
Research Abstract |
地球表層環境で進行している鉱物の溶解反応には生物起源の種々の有機分子が大きく関与していると考えられている。アモルファスシリカを用いたこれまでのバッチ式溶解実験では,タンパク質やアミノ酸による表面錯体形成がアモルファスシリカの溶解速度を著しく増大させることが確認されている。しかしながら,溶解速度に及ぼす影響の定量的9な評価や反応機構の詳細は明らかではない。そこで本年度はフロー式によるアモルファスシリカの溶解実験を行い、溶解速度に及ぼすタンパク質(BSA)の影響について検討を行った。溶解実験は,pH6~4条件下でタンパク質を含まない無機反応系と牛血清アルブミン(BSA)を添加したタンパク質系について行った。無機反応系では、バックグラウンドNaCl濃度を0.1、1.0、10.0mMの3段階に設定し、各NaCl濃度で溶液pH6、5、4の計9種類の反応系について検討した。タンパク質系では、NaCl濃度を0.1mMとし、BAS濃度 0.01、0.1、1.0mg/mlの各濃度について溶液pH6、5、4に調整した計9つの反応系について溶解実験を行った。実験の結果、無機反応系ではNaCl濃度に対応して溶解速度が増大が認められ、各NaCl濃度条件下での溶液pHをパラメータとする溶解速度式を得ることができた。一方、タンパク質系ではBAS濃度の上昇に伴ってアモルファスシリカの溶解速度の増大が認められた。BSAによる溶解速度の増大への影響は溶液pHの違いにより著しく異なり、各pH条件(pH6、5、4)での各BAS濃度(0.01、0.1、1.0mg/ml)における速度増大率は、pH6:1.4、2.2、2.8倍、pH5:1.5、4.5、7.7倍、pH4:1.7、6.3、11.4倍の値が得られ、アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすBSAの影響を定量的に評価することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度予定の実験はほぼ終了し、アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすタンパク質系(BAS)の影響を定量的に評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初予定のとおり、アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすアミノ酸の影響の定量評価とその反応機構を明らかにするため、タンパク質分子を構成する各アミノ酸を含む溶液中での溶解実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
反応装置の消耗品、反応試薬、旅費等に使用する。
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