2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540565
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
森下 祐一 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90358185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比屋根 肇 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70192292)
後藤 孝介 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30612171)
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Keywords | 南アフリカ共和国 / 白金族鉱床 / 金鉱床 / SIMS / レアメタル / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、SIMS(二次イオン質量分析法)微小領域分析手法等を用いて、鉱石中の金、白金族の存在形態を解明する。鉱石中白金族のSIMS分析を行う際に固体標準試料が必要だが、白金族のような微量元素では均質な標準試料が得られないため、イオン注入試料を作成する必要がある。本研究では白金族鉱石に含まれる3つの硫化鉱物である磁硫鉄鉱、ペントランド鉱、黄銅鉱に1平方cm当たり3E14個のプラチナ(Pt)を1.3MeVでイオン注入した標準試料を準備した。 ブッシュフェルト(Bushveld)複合岩体東部地区にあるツーリバーズ白金族鉱床のボーリングコアから、生成順序を追えるような連続サンプリングを行い、その試料から研磨薄片を作成した。研磨薄片作成試料の裏側を切り出し、試料のキャラクタリゼーションのため、分析専門機関に化学分析を依頼した。分析項目は、主成分元素と希土類元素を含む微量元素について行ったが、Au, Pt, Pdに関してFire-Assay法で元素を抽出してICP-MS分析とした。この分析値は、研磨薄片のバルク値としてSIMS分析値と比較する予定である。次に、薄片中の硫化鉱物(磁硫鉄鉱、黄銅鉱及びペントランド鉱)のPt濃度をSIMS微小領域分析で系統的に測定する予定であったが、SIMSの不具合が頻発して長期間測定できなかったことから、本年度の測定は予定通りには進まなかった。 一方、レアメタルの鉱床生成過程解明に関しては研究を進めた。白金族に関して行った調査研究を基盤として、平成25年10月に東京で開催された「第8回産総研レアメタルシンポジウムーエネルギー・環境問題の解決を支える白金族元素とそのリスク緩和技術」において、「白金族元素の資源」と題した招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究試料のキャラクタリゼーションや鉱床成因の検討については進んでいるが、最も重要な本研究の基盤分析装置であるSIMSの運用について、平成25年6月に真空制御ユニットの不具合、10月に検出器の不具合、11月にマイクロチャンネルプレート電源の不具合が発生し、測定が出来ない期間が長期にわたった。また、12月には設置する研究所の敷地において冷却水循環装置室外機の地盤補修工事が必要となり、室外機の移設改修の間は装置を使用できない状態が長期間に及んだ。このため、分析スケジュールに大幅な遅れが生じ、研究を完了させることが出来なくなったため、計画の1年延長を申請して認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に連続して発生したSIMS装置の不具合は現在までに全て解決しており、今後は順調に分析を進めることが可能であると考えている。 これまでに金、Pt、PdについてのSIMS分析手法が確立した。一方、金鉱床と白金族鉱床から試料採取を行い、分析用試料の組織的な作成と全岩分析値を準備しており、これまでに得られた分析値を勘案しながら重要な試料についてのSIMS分析を行うことにしている。 白金族のPtとPdは磁硫鉄鉱と黄銅鉱に比べてペントランド鉱に濃集することは共通だが、Pdの方がより多くペントランド鉱に濃集しており、濃度の不均質も大きい。この分析結果と鉱床成因との関係は、今後の研究で明らかにすべき点であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の基盤分析装置であるSIMSの運用について、平成25年6月に真空制御ユニットの不具合、10月に検出器の不具合、11月にマイクロチャンネルプレート電源の不具合が発生し、測定が出来ない期間が長期にわたった。また、12月には設置する研究所の敷地において冷却水循環装置室外機の地盤補修工事が必要となり、室外機の移設改修の間は装置を使用できない状態が長期間に及んだ。このため、分析スケジュールに大幅な遅れが生じ、研究を完了させることが出来なくなったため、計画の1年延長を申請して認められた。 鉱石試料のSIMS分析を行うための旅費や実験消耗品などの経費に使用する。次年度が1年延長した最終年度であるため、測定データの解釈と結論に導くための討論が必要となる。次年度に取得する分析データを基にして研究分担者と議論するが、この後に南アフリカ共和国に出張して現地の研究協力者と議論する他、本研究に関連する現地の専門家との討論も積極的に行う予定であるため、その外国出張旅費として研究費を使用する。 また、国際研究集会で研究成果を発表して討論するための旅費として使用する他、論文作成を行うこととする。
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