2011 Fiscal Year Research-status Report
単成火山のマグマ上昇はマグマ起源揮発性物質の拡散放出から捉えられるか
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23540569
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
野津 憲治 静岡大学, 防災総合センター, 客員教授 (80101103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 直之 静岡大学, 理学部, 教授 (60011631)
森 俊哉 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40272463)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 火山噴火予知 / 単成火山 / マグマ揮発性物質 / 二酸化炭素 / 火山ガス拡散放出 |
Research Abstract |
マグマに溶け込んでいる揮発性物質は、火山ガスとして火山体の山頂火口や山腹の噴気孔から放出している。最近の研究では、目に見える火山ガス以外にも火山体を覆う土壌を通して滲み出していることが分かり、「マグマ揮発性物質の拡散放出」と呼ばれている。マグマ揮発性物質の中でH2Oに次ぐ最多成分のCO2の拡散放出は多くの火山で普遍的にみられ、放出量の時間変化は山体直下でのマグマの上昇下降を反映し、面的な分布は将来の噴火場所の推定に役立つと考えられている。現在伊豆半島東部ではマグマの上昇を示す兆候が続いており、1989 年には伊東沖で海底噴火も起きた。この研究はこの地域に特有の単成火山形成をマグマ揮発性物質の拡散放出から捉えようとする初めての研究で、噴火予知の観点からも有用な情報が得られることが期待される。 当該年度にはCO2 フラックスメータを購入し、マグマ起源揮発性物質の拡散放出の観測研究を実施した。観測を行った場所は、1989年に岩脈上のマグマの上昇があり最終的には噴火が起きた手石海丘からは数km離れている陸上部分で、群発地震の震源が密集し,長期的な隆起も見られる地域である。また比較のためにこの地域で1989年噴火の2700年前に起きた岩ノ山から北ノ山、矢筈山、伊雄山に至る直線上の噴火地域の割れ目を直行する路線で同様の観測を実施した。どちらの地域でもCO2の拡散放出量は生物活動に由来するバックグラウンドレベルであり、マグマ揮発性物質の拡散放出は検出できなかった。当該年度は、群発地震活動もなく静穏な時期であったので、群発地震活動が活発になってきた時に備えて,バックグラウンドのデータが得られたことに意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
火山ガスの拡散放出はこれまでも多くの火山で観測されており、研究申請者らも2000年有珠山噴火の前に拡散放出量が増加し火山体内のガス圧の上昇を観測でき、マグマ供給系の時間変化のパラメータとして噴火予知にも役立つことを示してきた。本研究では,この種の研究が行われて来なかった単成火山のマグマ活動に焦点をあて、同じ火道を一回しか使わない単成火山のマグマ上昇についての知見を得ようとして,伊豆東部単成火山群を研究のターゲットとした。 研究申請にあたっては,まず伊豆東部火山群の群発地震多発域で現在の火山ガス拡散放出量を調査し,一旦噴火した場所にマグマ揮発性物質は残っていないかを調べるため1万年より若い単成火山でも調査を行い,さらに研究期間の3年の間に群発地震活動が活発化したら調査を繰り返すことを計画した。初年度の群発地震活動は低調で、マグマ揮発性物質検出はできなかったが、群発地震多発域でバックグラウンドとしての火山ガス拡散放出が測定でき,将来の活発化に備えて基礎となるデータを得ることが出来た。また、過去のマグマ上昇地点の調査は2700年前に起きた岩ノ山から北ノ山、矢筈山、伊雄山に至る直線上の噴火地域の割れ目を直行する路線で実施した。噴火割れ目の直上に相当する場所でもCO2の拡散放出量は生物活動に由来するバックグラウンドレベルであり、マグマ起源の拡散放出は見つからなかった。初年度に予定した観測は実行できたので,研究は計画通り進んでいると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の全体計画に沿って,2年度以降も伊豆東部火山群の群発地震多発地域(伊東市東部)と1万年以内に噴火が起きた場所の周辺で,火山ガス拡散放出の観測を行う。研究計画の続く後2年の間に群発地震活動が起きれば,適時対応して観測場所や観測間隔を選んで観測を行う。陸上部の群発地震多発域は、マグマが上昇している場所とは異なるため,マグマ揮発性物質は放出していない可能性があり,できるだけ想定されるマグマ上昇域に近い場所での観測が望まれるが,海上での拡散放出の測定は試されたことがない。研究申請者、分担者は、スペインの研究者と共同で火口湖水を通しての火山性ガス放出の観測を湖水上で行い、最近成果が発表された(Perez et al., Geology 39,325-328 (2011)).湖での観測を発展させる海上観測も検討に値するであろう。 また単成火山の噴火は、2700年前に起きた岩ノ山から北ノ山、矢筈山、伊雄山に至る直線上の割れ目噴火のように、岩脈に沿って時間をおいて(?)順次起きる場合もある。この現象を1989年噴火にあてはめると,その当時マグマが上昇した岩脈の北西延長は伊豆半島の陸上部の伊東市北部(宇佐見)になるので、この地域も観測地域に含めて,観測場所の見直しを行っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は直接経費70万円であり,研究代表者と分担者2名が研究観測を行うための経費として使用することを予定している。その主な内訳は,旅費と消耗品費であり、東伊豆単成火山群で群発地震多発域(伊東港から川奈へ至る地域)と1万年以内に噴火の起きた例えば大室山周辺で観測を行うための観測に使用される。
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Research Products
(2 results)