2013 Fiscal Year Annual Research Report
ガス銃の衝突反応による炭素クラスター合成 ー宇宙炭素合成のモデル実験ー
Project/Area Number |
23540572
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三重野 哲 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (50173993)
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Keywords | 衝突気相合成 / インパクト反応 / 小惑星衝突 / タイタン / 炭素クラスター / アミノ酸 / 衝突プルーム / 有機物合成 |
Research Abstract |
タイタンなど惑星・衛星に小惑星が衝突して起きる高温気相反応のシミュレーション実験として、2段式軽ガス銃を用いた衝突実験を行っている.6.5 km/sに加速されたポリカーボネート弾が1気圧の窒素ガスで満たされた与圧室内に打ち込まれ、鉄(水+鉄あるいは水+ヘキサン+鉄)ターゲットに衝突し、高温ガスプルームを発生する。その中で高温ガス反応が起きる。 1)小型圧力センサーにより、衝突前後のガス圧力を測定し、予測どおりであることを確認した。 2)発生する高温ガスプルームの発光スペクトル分析により、CN, C2, CH分子の帯スペクトルを測定した。その結果、CN分子回転温度は、約4500Kであり、発光寿命は約100usであった。 3)ストリークカメラにより、発光スペクトルの時間変化を詳細に記録する事ができ、分子回転温度の時間変化を測定することができた。 4)合成試料を注意深く回収し、純水で還流抽出し、その試料をダブシル化反応させ、高速液体クロマトグラフ分析した。その結果、グリシン、アラニン、セリンなどのアミノ酸合成を確認することができた。分析においては、純水の場合、標準アミノ酸試料の場合のスペクトルと比較し、不純物混入がおきていない事を確認した。グリシンの合成量は、水+ヘキサン+鉄ターゲットの条件が最大であり、見積もり合成量は、約100 pmolであった。窒素ガスを抜いた真空条件での衝突合成実験では、アミノ酸合成は起きていなかった。また、ステンレス鋼球弾を使用した場合、高温プルームがかなり小さくなり、アミノ酸の合成は微少であった。試料処理中での不純物混入が起きない事を確認した。この成果は、タイタンなどの星に小惑星が衝突して、アミノ酸が合成され、表面に蓄積する可能性を支持する。
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Research Products
(8 results)