2011 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ周波数領域分光法によるプラズマ中のフリーラジカル検出
Project/Area Number |
23540573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北原 英明 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (20397649)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | テラヘルツ分光 / フリーラジカル |
Research Abstract |
本研究の目的はプラズマ中に生成された少量の不安定分子をテラヘルツ(THz)領域キャビティリングダウン(CRD: Cavity Ring-Down)法を用いた高感度な測定手法を確立することにより、プラズマ素反応をその場で解析することにある。プラズマによる反応過程や反応生成物の解析を行うためには反応過程に極力影響を与えないよう非接触かつ遠隔走査での診断が必須である。従って、本研究の目的は光混合法を用いた分光器にTHz領域キャビティを組み込みTHz-CRDシステムを開発し、気相プラズマ中の不安定分子のその場観測を行うことにある。本研究ではプラズマプロセスの反応素過程を明らかにするために、プラズマ中の不安定分子に注目し、光混合法を用いた実験装置の開発を行い反応素過程の解明を行う。マイクロ波からTHz波領域でプラズマ中の不安定分子の回転遷移の直接検出を行う事は、これらの分子がプラズマ中に含まれる数の少なさや極性の低さから比較的難しい上、電磁波と検出しようとしている分子との相互作用が小さいため低感度なので感度向上に限界がある。また、パルスタイプの分光器を用いた不安定分子に対する測定において、プラズマ中の分子の回転遷移が細い線幅を持つことから、パルス分光システムで十分な分解能を得るためには長い測定時間を要する。これらの困難を克服するためには、高い分解能と高い感度を持った検出方法を用いなければならない。そこで、これらの点を改善するために高感度かつ高分解能なプラズマ中の不安定分子診断システムを構築する。平成23年度は、本研究に必要な半導体レーザー光源を製作し、光混合法によるTHz周波数領域分光器(THz-FDS)の開発、製作を行なった。また、ここまでの結果を持って国際学会へ参加し発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では実験機材の価格を抑えるためにギリギリの機材購入計画を行ったため、政府の第三次補正予算が成立しない限り、研究計画の変更をせざるを得ず、機材発注を見合わせるしかなかった。このため当初の計画と比較し、研究の進展が半年以上遅れることになった。一部の年度当初から購入を進めていた物品を除き、予算成立を待って発注を行ったため、殆どの機材購入は11月末となり実験機材の構築はこの時点から始めることとなったのが遅延の理由である。その後12月一杯、研究の遅れを取り戻すべく尽力し、その結果昨年末までに分光器を組み立てることができた。これ等の遅延が元で、現在は分光器の調整中であり、当初の目標であったプラズマチャンバを導入したうえでのフリーラジカル検出測定を行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り早急に分光器の調整を行い、当初の計画通りにプラズマ中のフリーラジカル検出を試みる。同時にテラヘルツキャビティの設計、発注、組立を行いキャビティリングダウンを実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
テラヘルツキャビティのミラーおよびホルダの部品購入に使用する予定である。
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