2012 Fiscal Year Research-status Report
クーロン結晶によるナノ・イオンビーム生成の原理実証実験
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23540574
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 清一 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70335719)
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Keywords | ナノ・イオンビーム / 非中性プラズマ / クーロン結晶 / レーザー冷却 |
Research Abstract |
我々は線形ポールトラップ中にレーザー冷却法を用いて生成した紐状クーロン結晶をイオン源とすることで,ナノ・イオンビームを生成する方法を提案してきた.これまでに,結晶化したイオン群をトラップから引き出しその軸方向の構造を実験的に計測することに成功している.本課題では,引き出したイオン群の断面方向分布および,拡がり角を実際に測定することで,クーロン結晶からのナノ・イオンビーム生成の可能性を実験的に検証することを目的とする.平成24年度は数値計算による最適な引き出し条件の探索,および高真空度の達成および機械ノイズの低減を目的に主排気系をターボ分子ポンプからイオンポンプへの変更を行った. エミッタンスの正確な測定のためには装置の振動を極力少なくする必要がある.振動の発生源として真空排気に用いるターボ分子ポンプやロータリーポンプの振動が考えられる.これらを取り除くために主排気系をイオンポンプへと変更する.イオンポンプは可動部がなく,またロータリーポンプを必要としないので,振動を完全になくすことが出来る.更に,イオンポンプは電源を切っても暫く真空を維持できる.従って,電源を切って実験を行うことで,排気系からの擾乱が全くない状態で実験を行うことが可能である. イオンポンプへの変更により,到達真空度は2E-7 Paとなり,やく半分に改善した.クーロン結晶の安定的な生成に必要とされる10の-7乗台の真空には到達しているが,欲を言えばもうすこし改善したいところである.実際,リークテストを行うと細かいリークが複数あるので改善することは可能であると考える. 本年度において,実験装置の製作,改良はほぼ終了した.しかしながら,この新しいシステムにおいてはレーザーによる冷却効果は確認しているが,残念ながらクーロン結晶の生成にはまだ成功していない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では,1.数値計算による最適な引き出し条件の探索,2.排気ポンプの変更,3.及びクーロン結晶の引き出し実験を行う予定であった.このうち1と2についてはおおよそ達成することが出来た.これにより研究に必要な道具立てはほぼ完成したと言える.しかしながら,この新しいシステムではまだクーロン結晶化に成功しておらず,実際の引き出し実験を行えていないのが現状である.従って,当初予定よりやや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,新しいシステムにおいてクーロン結晶を生成し,これまでに行ってきた数値計算の結果を参考にしつつ引き出し実験を行なう. 本研究を成功させるための最も重要な点は,この新しいシステムでクーロン結晶を早急に生成することである.クーロン結晶の生成には冷却用レーザー周波数の制御,イオン数・rf電圧の低減(rf加熱の低減)など幾つかのポイントがある.このうち,イオン数の低減が上手くいっていないことが,現在,結晶化に成功していない最大の要因と考えている.これは,結晶の引き出しを上手く行うために,これまでに使っていたイオントラップと電極形状を変更したことに起因している.実際,レーザーシステムやrfシステムはクーロン結晶の生成に成功している旧システムをそのまま流用しており,大きく変更されたのはイオントラップの電極形状だけである. そこで,まずはイオン数の効率的な低減とクーロン結晶生成に取り組む.基本的には小数パラメータの最適化なので6月までには結晶化が可能であると考えている.その後,数値計算結果を参考に引き出し実験を行う.順調に行けば,10月位までに一通りのデータを揃えられるであろう.その後,得られた結果をもとに理論的な解析や数値実験と比較しつつ,詰めの実験を行なう.12月を目処に詰めの実験や解析を終える.この段階で得られた成果をまとめ,しかる場所に投稿する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のように,実験に必要な道具立てはほぼ終わっている.従って今年度予算は実験装置の小規模な改良,消耗品の購入,研究打ち合わせや成果発表等の旅費に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)