2011 Fiscal Year Research-status Report
大気圧μプラズマとマイクロバブル技術の融合による新規液中プロセスの開発
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23540582
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
吉木 宏之 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00300525)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / マイクロバブル / 液中プロセス / ラジカル反応 / 有機物分解 / 滅菌処理 / 水浄化 |
Research Abstract |
注射針に代表される外径0.7mmの金属パイプ電極と接地電極とから成る大気圧μプラズマ源を有するプラズマ室と、旋回式気液せん断方式のマイクロバブル発生室の気体導入部を密接し、一体化して構成した『プラズマ・マイクロバブル融合装置』を試作した。パイプ電極にVpp:6-7kV、パルス周波数、継続時間が950Hz、0.2msの電圧を印加して大気圧μプラズマを生成する。同時に水循環ポンプによりマイクロバブル発生室の中心軸に沿って高速渦流を発生させ、気体導入ノズル前面に負圧空洞部を形成することでプラズマ気体を自給しマイクロバブルに内包して液体中に放出する。本年度は、室内空気、O2、He、N2、O2/N2混合ガスのプラズマ・マイクロバブルによるインジゴカルミン水溶液の脱色実験を行なった。インジゴカルミン水溶液の容積(濃度)は32L(20mg/L)、10L(10、15、20mg/L)とした。その結果、室内空気、O2、O2/N2混合ガスのプラズマ・マイクロバブル処理で脱色を確認した。発光分光分析(OES)から、プラズマ中にはOラジカル、OHラジカルからの発光を観測した。また、パイプ電極近傍のオゾン濃度をガス検知管で測定した結果18ppm程度であった。また、水中のオゾン濃度は検出限界(0.5ppm)以下であった。この事から、脱色に寄与するのはオゾンよりも『Oラジカルが水と反応してできるヒドロキシラジカルや過酸化水素である』と考えられる。さらに、室内空気やO2のプラズマ・マイクロバブル処理したイオン交換水のUV可視吸光度スペクトルは約210 nmに強いピークを示し、pHは4-5を示した。この事から過酸化水素の存在が示唆された。次に、環境汚染水中の大腸菌群の滅菌処理に室内空気プラズマ・マイクロバブルを応用した。液体培地を用いた簡易検査の結果、約18時間処理後のサンプルで大腸菌群は陰性反応を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気圧μプラズマ源を用いた『プラズマ・マイクロバブル融合装置』を試作し、アフターグロープラズマ気液界面反応の基礎データ取りを開始できた。まず、OES測定を行ない液中プロセスの前段階であるプラズマ気相(ラジカル組成など)の分析・評価を行なった。また、インジゴカルミン水溶液のプラズマ・マイクロバブル処理を行い、プラズマガス種をパラメータとする事で、処理溶液の吸光度測定から染料の分解過程や反応メカニズムを解明できた。さらに、環境汚染水中の大腸菌群の滅菌処理に室内空気プラズマ・マイクロバブルを応用して、滅菌効果を確認できた。H23年度に予定していた溶液中に生成するスーパーオキシドやヒドロキシラジカル等のフリーラジカルの電子スピン共鳴(ESR)測定は、外部機関の設備の都合上次年度以降で実施する事になった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) プラズマ・マイクロバブル処理した液中に生成するスーパーオキシドやヒドロキシラジカル等のフリーラジカル組成や反応生成物をESRや紫外可視吸光度測定により明らかにする。また、前年度に引続きインジゴカルミン水溶液やその他の有機染料のプラズマ・マイクロバブルによる脱色処理で生じる分解生成物を、液体クロマトグラフ法や核磁気共鳴(NMR)等で同定することで、プラズマ気液界面反応で生成されるラジカル等による有機物の分解反応メカニズムを解明する。また、トリハロメタン、クロロフェノール等の有害物質の分解へのプラズマ・マイクロバブル応用の可能性を評価する。(2) 大気圧μプラズマ発生手段をバリア放電、沿面放電等に変えた場合や、プラズマ化するガス種(空気、O2、N2/O2混合ガス、CO2他)によって、プラズマ気相中のラジカルと液中に生成されるラジカルの関連をOES、紫外可視吸光度測定、ESR等の手段を用いて明らかにする。これらのプラズマ・マイクロバブルがもたらす液中反応の基礎特性に基づき、水処理・浄化技術や、難分解化学物質の分解手法の確立を目指す。(3) 殺菌・滅菌への応用を目指して、大気圧プラズマ生成条件やマイクロ・ナノバブル照射条件と微生物の生理状態(増殖・減少)の関連性を調査することで、殺菌・滅菌の物理的、化学的メカニズムを明らかにする。その為に、プラズマ・マイクロバブル処理による大腸菌E.Coliの減少あるいは増殖効果をクロモカルト・コリフォーム寒天培養法等でコロニー計数することで定量的に調べる。これにより、プラズマ中のラジカル組成、マイクロバブル照射条件、液中ラジカル組成等と滅菌効果(さらに殺菌効率)との関連を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
紫外可視分光光度計(島津製作所)、パルス波形発生器、高電圧発生装置の設備購入。国際会議渡航費・参加費(4th International Conference on Plasma Medicine, 6月17-21, France)、国内学会・研究会への出張旅費・参加費(成果報告、情報収集の為)。試薬、製作材料等の消耗物品。外部機関(公設試験場等)の設備使用料、試料分析依頼費。
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Research Products
(4 results)