2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540583
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
三浦 英昭 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40280599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 圭典 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90299181)
伊藤 淳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70413987)
|
Keywords | 乱流 / 拡張MHD / 渦構造 / スペクトル |
Research Abstract |
拡張MHD方程式の一つであるHall MHD方程式を用いた減衰性一様等方性乱流の直接数値シミュレーションにより、Hall効果がイオンスキン長よりも小さいスケール及び大きいスケールの空間構造に及ぼす影響を調べた。元のデータでは、Hall項の導入によって渦構造が層状構造から管状構造へと変化する構造遷移が発見された。ローパスフィルターのカットオフ波数を変化させつつ同様の可視化を行ったところ、イオンスキン長よりも小さい空間構造では頻繁に渦構造遷移が見られた。他方、イオンスキン長よりも大きいスケールを観察したところ、やはり渦構造遷移が見られたことから、イオンスキン長効果が単に高波数側に影響を与えるだけではなく、低波数側に対しても大きな影響を与えていることがわかった。他方、これら多様な変化がありながら、エネルギースペクトルでは渦構造遷移の影響が顕わには表れないことが分かった。これらの研究成果は現在投稿準備中である。 また、エネルギー伝達関数に関する詳細な解析からは、非線形エネルギー輸送が乱流の減衰過程において、次第に非線形性を弱める性質が明らかになった。この成果はPlasma Fusion Res.誌に掲載が決定した。 これらの研究と並行し、背景磁場のあるシミュレーションによる同種研究を進めている。閉経磁場のあるシミュレーション結果は平成26年度に発表予定である。また、ジャイロ粘性を導入した場合のシミュレーションコードを作成し、実施段階に移行た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Hall MHD乱流の研究については、渦構造遷移の発見とその解析など当初想定以上の収穫があり、予定よりも順調に進んでいるとみなしてよい。平成25年度中の論文の投稿には至らなかったが、26年度中には投稿可能と考えている。他方、この発見の解析に時間を費やした結果、格子点数2048*2048*2048の大規模シミュレーションの実施が遅れてた。平成26年度が当研究の最終年度であることを考えると、このシミュレーションを実施して論文の投稿に至るには若干時間が不足していると考えられる。格子点数2048*2048*2048の最大規模シミュレーションを実施するためのシミュレーションコードの改造は概ね終了しており、このコードへのFLR効果の導入も完了している。現在は中規模(格子点数512*512*512)でのシミュレーションが進行しており、全体に若干遅れ気味であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
一様等方性シミュレーションについては、現在までに実現した格子点数1024*1024*1024までの計算で一旦切り上げ、背景磁場のあるシミュレーションでの格子点数1024*1024*1024シミュレーション及びFLR効果を導入したシミュレーションに移行する。 また、本課題への研究で作成した数値シミュレーションデータについて、海外から共同研究の提案を受けている。これを踏まえ、大規模数値シミュレーションの実施から、既に実施したシミュレーションデータの解析に比重を移し、物理的な理解を深めて当該課題の最終年度の成果とする方向で検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題における数値シミュレーションの一部は東北大学サイバーサイエンスセンターの計算機システムで実行する予定であったが、計算内容の見直しのため、前年度の利用を終了した。このため、東北大学サイバーサイエンスセンターの計算機使用料として計上していた金額のうち一部が、次年度使用額として発生した。 昨年度執行予定であった金額は、今年度のシミュレーションを実行するための計算機使用料として執行する予定である。
|