2013 Fiscal Year Annual Research Report
パルス伝播を取り入れた時空間量子最適制御シミュレーション法の開発と応用
Project/Area Number |
23550004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 幸義 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40203848)
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Keywords | コヒーレント制御 / 最適化 / 分子配向 / 分子整列 / レーザーパルス / THzパルス / パルス伝播 / 同位体分離 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非共鳴な光を利用することで凝縮相における光吸収の影響を避け,ラマン遷移により分子ダイナミクスを制御する。更に,従来考慮されてこなかったパルスの伝播効果を陽に取り入れることを目指す。方法論の成果として,我々が開発した非線形最適化アルゴリズムを励起光の最大振幅およびエネルギー(フルエンス)を陽に指定できるように拡張した。これにより,実験条件を直接反映させるだけでなく,与えられた励起資源の最適な分配法もシミュレーションから見積れるようになった。 温度0 K~10 K,THz振幅 50 MV/m~150 MV/m,レーザーフルエンス2.5 J/cm2~4.5 J/cm2 の範囲で系統的な分子配向シミュレーションを行った。ここで着目しているTHzピーク強度は,近年,非線形光学現象を利用して生成するモノサイクル・パルスと同強度であり,単独で分子を配向させるには1~2桁,強度が低い。これに3パルスからなる最適レーザーパルス(相互作用の対称性のため直接には配向制御には寄与しない)を照射すると,温度に依らず,THzパルス単独の1.5倍以上の配向度合いを達成ですることを明らかにした。なお,レーザーパルスとTHzパルスとに時間的な重なりはない。時間重なりが重要な半サイクルTHzパルスとレーザーパルスとの組み合わせとは,制御機構が大きく異なることを示唆している。最適パルスのスペック・データを提供し,実験・理論両面から知見を深めていけることを期待している。 パルス伝搬に関しては先行研究を参考にマクスウェル方程式の解法を独自作成した。同位体選択的な分子整列(昨年度の研究成果)に適用することで,最適パルスの伝播に伴う“劣化”に関して成果まとめを進めている。また,最適化までは至っていないが,サブフェムト秒の量子干渉分光法の開発も行った。
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Research Products
(6 results)