2013 Fiscal Year Annual Research Report
P型フォトクロミック反応を利用した蛍光モジュレーション分子アセンブリの理論設計
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23550006
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
天辰 禎晃 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90241653)
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Keywords | 分子設計 / 電子励起状態 / フォトクロミック反応 / 非経験的分子軌道法 / 分子アセンブリ / 蛍光モジュレーション |
Research Abstract |
反応物および生成物のいずれも熱的に安定でその両者の変換が光反応によってのみ進行する化学反応をP型フォトクロミック反応といい、その代表例がジアリールエテン類の光閉環・開環反応である。これらの分子群は、その高速光化学反応を利用した光スイッチや光記録などの光機能性材料として関心がもたれている。そこで、本研究では、非経験的分子軌道計算によりこれらの光化学的過程について理論的な検討を行う。そして、その知見をもとに、分子アセンブリの一つとして近年実験的報告がなされている蛍光モジュレーションの発現機構や他の分子素子との連動による新規な分子アセンブリの理論設計を行う。 平成25年度は、特に蛍光モジュレーション能を有する分子回転モーターという新たな分子アセンブリを設計すべく、ジアリールエテン類と連結する分子回転モーターの理論設計を行った。具体的には、その光化学的挙動において重要な役割をする円錐交差(CIX)領域のポテンシャル面の検討を行い、S0への緩和チャンネルとして、順方向回転と逆方向回転のチャンネルが別々に存在することが分かった。さらに、このCIXの役割は対象とした分子回転モーターであるエチレノイドに特有のものではなく、多くのエチレノイド系分子に見られる特徴であることが分かった。 さらに、本研究課題(平成23~25年度)において、以下述べる点も明らかとなった。その一つはジアリールエテン類の2光子吸収による光反応の過程についてである。ジアリールエテン類は2光子過程でS5に到達するが、そこから直接的に開環過程に対するCIX領域に至ることが分かった。また、フルギド類の光開環・閉環反応に関してS1のポテンシャル面の検討をしたところ、閉環体は蛍光性を有するのに対して、開環体はほとんど蛍光を発しないという実験結果をポテンシャル面の特徴と関連付けて説明することができた。
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Research Products
(2 results)