2011 Fiscal Year Research-status Report
高強度中赤外光源を用いた励起状態プロトン移動反応機構の構造論的研究
Project/Area Number |
23550007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 充彦 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00378598)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中赤外レーザー / 励起状態プロトン移動反応 / 超音速ジェット / 溶媒和クラスター / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究は、ZnGeP2結晶中での差周波発生を利用した新たな中赤外領域の高強度レーザー光源を用い、これまでは困難であった超音速ジェット中の分子に対する5~12 μmの骨格振動領域の赤外分光を利用して基本的な反応素過程について気相孤立状態のクラスター構造から明らかにすることを目的としている。本年度は、中赤外領域に対応するビームプロファイラを購入し赤外光の光路を可視化することで、中赤外光源の調整効率の向上を図った。赤外光の光軸調整の精度向上により、波長掃引時の中赤外光路の変動をなくすことに成功した。これにより波長ごとに光軸を補正する必要がなくなり、赤外スペクトル測定の効率が大きく向上した。超音速ジェット中に生成したサリチル酸メチルに蛍光検出赤外‐紫外、紫外‐赤外二重共鳴法を適用し、電子基底状態および励起状態の10-2.5 μmにおける赤外スペクトルを測定した。検出蛍光波長を選択することで、反応性の異なる2つの回転異性体の赤外スペクトルを独立に測定することに成功した。理論赤外スペクトルとの比較から励起状態プロトン移動反応による構造変化を明らかにできた。これらの反応は、容易に赤外分光が可能な3 μm領域のXH伸縮振動には反応生成物の構造変化がほとんど反映されないため、これまで明確な解答が得られていなかった。今回の結果は、励起状態反応の構造論的解明に道を開き、今後の反応機構研究の発展に寄与すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度は当初、溶媒和クラスターにおける中赤外分光まで実施する予定であったが、光源の改良と単量体の測定の止まったため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
光源の利便性の向上により、赤外スペクトルの測定は容易に行えるようになった。従って、次年度は測定対象である溶媒和クラスターの効率的かつ安定的生成を実現し、スペクトル測定を行なうことが主要な目的となる。混合ガスやパルスバルブの改良などと合わせて、イオン‐蛍光の同時モニターなどを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定装置の維持管理にかかわる消耗品および測定試料の購入と、学会参加等への旅費の支出を主に予定している。
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Research Products
(1 results)