2012 Fiscal Year Research-status Report
高強度中赤外光源を用いた励起状態プロトン移動反応機構の構造論的研究
Project/Area Number |
23550007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 充彦 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (00378598)
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Keywords | 中赤外レーザー / 励起状態プロトン移動反応 / 超音速ジェット / 溶媒和クラスター / 赤外分光 |
Research Abstract |
本研究は、ZnGeP2結晶中での差周波発生を利用した新たな中赤外領域の高強度レーザー光源を用い、これまでは困難であった超音速ジェット中のクラスターに対する5~12 μmの骨格振動領域の赤外分光を利用して基本的な反応素過程について気相孤立状態のクラスター構造から明らかにすることを目的としている。 本年度は超音速ジェット中に生成したナフトール‐アンモニアクラスターにイオン化検出赤外‐紫外、紫外‐赤外二重共鳴法を適用し、電子基底状態および励起状態の10-2.5 μmにおける赤外スペクトルの測定を開始した。クラスター生成に使用する混合ガスの濃度を調整することで効率よい測定条件を探索しつつ、現在のところプロトン移動を生じないn=2までであるが赤外スペクトルの測定を終了し、次年度以降さらに大きなサイズのクラスターの測定を継続する予定である。同時に、密度汎関数法を利用した量子化学計算による安定構造探索と、理論赤外スペクトルとの比較からかなり複雑になる骨格振動領域の赤外スペクトルの帰属法の確立とクラスター構造決定を進めている。 成果発表として、フェノール‐アンモニアクラスターの電子基底状態における酸解離反応を中赤外分光を用いた反応生成物の同定から初めて明確に実証した論文を公表した。この結果は、本研究の目的をまさに実現しており、中赤外分光の気相クラスターを用いた化学反応機構の研究に大きく寄与すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では本年度までに予定していたナフトールクラスターに関する分光測定を終える予定であったが、現在測定中であり、当初計画からは遅れがある。一方、その後に開始する予定だった系に対する測定にはすでに終了したものもあるため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は主たる測定対象であるナフトールの溶媒和クラスターの中赤外スペクトル測定を継続し、そのプロトン移動反応機構の解明を行なうことが主要な目的となる。併せて、量子化学計算の推進とベンゼン二量体など新たな系への適用を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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