2012 Fiscal Year Research-status Report
高輝度放射光を利用した表面X線散乱法による固/液界面ナノ構造ダイナミクス追跡
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23550009
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
近藤 敏啓 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (70240629)
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Keywords | 表面・界面物性 / ナノ材料 / 構造・機能材料 / 触媒・化学プロセス / 複合材料・物性 / 表面X線散乱法 / 単結晶電極 |
Research Abstract |
シンクロトロン軌道放射光を利用した表面X線散乱(Surface X-ray Scattering; SXS)測定により、当該年度では以下の1件について詳細に検討し、固液界面の原子/分子配列をその場決定した。SXS測定では前年度に確立したダイナミクスセルを利用して測定時間を短縮し、Au(111)上にPt原子が電気化学的に配列して電析していく過程をその場追跡した。 1.Au(111)基板上にPtが電気化学的に配列・固定されていく過程を、まず種々の電析条件(Ptイオン種の決定(PtCl62-)、Ptイオン種の濃度、電析方法(掃引速度と電析電位)、電析時間)で電析したPt表面への水素吸脱着反応を電気化学的に測定し、Ptがlayer-by-layer的に電析する条件を見出した。次に、そのlayer-by-layer的に電析していく過程を、入射X線のエネルギーを析出金属であるPtの吸収端近傍とし、CTR測定をするとともに、種々の回折点における入射X線エネルギー依存性を測定する、共鳴表面X線散乱(Resonance Surface X-ray Scattering; RSXS)法を適用して、理論式によるフィッティングから、それぞれの固液界面構造を決定した。その結果、Au(111)単結晶面には開回路電位(Open Circuit Potential; OCP)時にすでに(√7×√7)R19.1°構造で配列・物理吸着していること、およびPtがlayer-by-layer的にかつ下地Au(111)-(1×1)構造を模倣した「pseudomorphic」に電析していく過程のその場追跡に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、前年度から当該年度にかけて「SXSダイナミクス測定用新規電気化学セルを設計・作製」を実施し、これまで申請者が明らかにしてきた系へ適用することで、その性能をチェックし、改良点をブレークスルーしていくことを目標としていたが、すでに前年度にSXSダイナミクス測定用の新規電気化学セルの作製から改良までを一通り終えていたので、当該年度はその新しく作製/改良したSXSダイナミクス測定用電気化学セルを用いて、新たな系の測定に挑み、新たなセルによる測定時間の短縮によって、大量のデータが得られ、その詳細な解析から、新たな系の固液界面構造の正確な決定およびダイナミクス追跡に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに改良まで終わっているSXSダイナミクス測定用電気化学セルを用いて、さらに新しい系へ適用し、多くの、そして現在最もポピュラーなテーマの1つある、白金単結晶電極/溶液界面の原子・分子配列決定ならびにダイナミクス追跡に挑戦する。また、金単結晶上への有機分子層配列過程における下地金原子配列と有機分子層の配列・配向との関係を明らかとする実験も計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
さらに新たな系に挑む次年度では、主な物品費として測定試料(白金単結晶)および試薬・ガラス器具・ガス類の消耗品類とともに、国内外の放射光施設利用のための調査研究旅費および物品輸送料などを予定している。
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