2013 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム光散乱媒体を利用したフラクタル反応場の開発
Project/Area Number |
23550010
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 炎 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (10216434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE I‐Yin Sandy 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (80324028)
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Keywords | Mie 散乱 / 多重散乱 / ランダム媒体 |
Research Abstract |
われわれは高分子水溶液ランダム媒体の研究において、Mie 近接場と多重散乱を複合的に利用し、色素分子間の光化学過程をリモート・コントロールできることを見出した。そこで本研究では次の二つを目的としている。(1) ランダム媒体における光パイプ効果を拡張し「フラクタル反応場」として確立する。(2) フラクタル反応場を光エネルギーの高効率利用のために活用し合成・医療への応用を目指す。 研究実施計画に従い、平成25年度は、24年度に作製法を確立した光散乱性粒子(ポリスチレン粒子並びにマイクロバブル)をさらに発展させ、光パイプと反応場形成への応用を試みた。ポリスチレン粒子に関しては、作製・精製法を最適化することにより、溶液中においてランダム配列相とフォトニック結晶相の発現を制御する条件を探索した。ランダム媒体を構成する散乱粒子としての観点からは、相転移制御は光パイプのオン・オフコントロールにつながるため興味深い。またマイクロバブルの系では、気泡サイズを動的にモニターするために、超音波共鳴スペクトロメータの改良、拡張 Mie 散乱シグナルの観測、並びにフリンジパターンのイメージングを行った。 その結果、ポリマー粒子が形成する長距離秩序をオン・オフすることにより、光の多重散乱にも特異的な効果が現れること、並びに、超音波と Mie 散乱モニタリングによって気泡の空間・時間的安定性が確保できることを明らかにした。さらに、Mie 近接場の精密計算によって、散乱体近傍における楕円偏光の発生を理論的に予測することができた。 【意義と重要性】研究期間全体を通じてわれわれが見出した Mie 近接場と多重散乱の相乗効果は、ナノフォトニクスの分野で注目されている Photonic Jet 現象やフォトニック結晶と関連が深く、また超音波化学において重要である気泡ダイナミクスとも関連することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)