2013 Fiscal Year Research-status Report
水素結合分子集団の量子振動状態に関する新規高精度シミュレーション手法の開発
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23550011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 伸一 金沢大学, 数物科学系, 教授 (10282865)
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Keywords | 経路積分 / 変分経路積分 / 量子モンテカルロ法 / 分子動力学法 / 水 |
Research Abstract |
変分経路積分法の効率的な実施のために、調和振動子の系に対して解析的な表式を導出した。特に計算機シミュレーションの観点からは、密度行列の離散化した表示が重要な役割を果たすのであるが、いままで知られている2次近似の表現をもちいて擬分配関数および物理量を閉じた形で求めて、シミュレーションの数値結果と比較検討をした。さらに4次近似のもとでの密度行列を新たに導出し、擬分配関数等を求めることに成功した。解析的な表式から、今まで経験的に知られていた、4次近似の計算効率に関する性質を確認することができた。これらの解析的な表現は、最適なシミュレーション条件の探索指針となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振動子系に対する変分経路積分の擬分配関数等の解析的な表式を得ることに成功し、シミュレーションに関する最適なパラメータに関する知見が蓄積しつつあり、多分子系のシミュレーションの準備はおおむね順調に進展している。現在は、多分子系の効率的なシミュレーション手法の構築に向け、準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、水クラスターの対して本量子シミュレーション手法を適用するためのプログラムの拡張を実施する。また、計算効率に大きく影響をおよぼす試行関数について詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に水分子集合体の量子状態に関するシミュレーションを実施するとともにシンポジウムにおいて発表する予定であったが、事前に計算条件を詳細に確定する必要性が生じたため、計画を変更しまずは水1分子および解析的に解けるモデルの詳細な解析をおこなうこととしたため、未使用額が生じた。 このため、水分子集合体の量子振動解析とシンポジウムでの発表を本年度に行うこととし、未使用額はその経費にあてる。
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Research Products
(16 results)