2014 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合分子集団の量子振動状態に関する新規高精度シミュレーション手法の開発
Project/Area Number |
23550011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 伸一 金沢大学, 数物科学系, 教授 (10282865)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 経路積分 / 変分経路積分 / 量子モンテカルロ法 / 分子動力学法 / ハイブリットモンテカルロ法 / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
水分子クラスターに代表される水素結合クラスターの基底状態の効率的なシミュレーション手法として変分経路積分ハイブリットモンテカルロ法の開発を行った。計算コストを支配しているパラメータのひとつに虚時間スライスの数があげられるが、本研究では通常用いられるものより高次の近似を採用することにより、精度を下げることなく虚時間スライスの数を減らすことを可能とした。また高次近似に基づく分子動力学法・ハイブリットモンテカルロ法ではポテンシャル関数のヘッセ行列の情報が必要である。これは変分経路積分サンプリングをする際の有効相互作用の部分にポテンシャルの勾配の情報が含まれていることによる。本研究では、粒子間の相互作用と相互作用のグラディエント部分を分割して取扱い、運動方程式によるシステム自由度のアップデートには前者の相互作用の部分を用い、メトロポリス関数による配位の採択・棄却のステップではグラディエントの情報を含む完全な有効相互作用を用いるマルチレベルのハイブリットモンテカルロ法を構築した。これにより運動方程式を数値的に解く際にヘッセ行列の計算を回避することができる。分子動力学法、ハイブリットモンテカルロ法、マルチレベルのハイブリットモンテカルロ法を水分子に適用し、計算効率の検討をすることにより、効率的なパイブリットモンテカルロパラメータの探索を実施した。経験ポテンシャルを用いた少数分子の系では、大きな効率の差は認めれなかったが、電子状態を同時に計算する場合や、多分子クラスターに対しては、マルチレベルのハイブリットモンテカルロ法が大いに役立つことが期待される。
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