2012 Fiscal Year Research-status Report
超低温化学スパッタリング法が切り開く含遷移金属活性種研究の新局面
Project/Area Number |
23550014
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡林 利明 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70224045)
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Keywords | スパッタリング / 含遷移金属活性種 / 金属-硫黄間結合 |
Research Abstract |
スパッタリング法とは、放電等によって生じたイオンを電場によって加速したのちターゲットと呼ばれる固体物質にぶつけ、その構成物質を気相にたたき出す反応である。この反応は工業的にも広く利用されており、この場合は清浄なターゲットを超高真空下において物理スパッタリングが主流である。それに対し、ターゲットと試料ガスとの反応を利用した化学スパッタリングは系が「汚く」なることから避けられることが多い。我々は、化学スパッタリングの持つこの欠点を積極的に利用する「超低温化学スパッタリング法」を開発し、様々な含遷移金属活性種の物理化学的性質を明らかにしてきた。 本年度は、チオール類による貴金属ナノクラスターの安定化に対するモデルとして重要な「貴金属-硫黄活性種の安定性と反応性」に注目した研究を行った。まず、すでに展開中の「銀-硫黄活性種」および「白金-硫黄活性種」について、ある程度の成果が集まってきたので、順次投稿を進めている。現在は、銀や白金において得られた知見をもとに、金を含む活性種についても研究を行っており、「金-硫黄活性種」についてもこれまでにない高精度の知見を得つつある。結果の一部は、すでに学会発表済みである。また、硫黄を含む化学種ではないが、金や銀などを含む短寿命についても多くの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「銀-硫黄活性種」および「白金-硫黄活性種」については、分光学的検出と物理化学的解析が進み、一部の成果についてはすでに論文にて発表済みである。さらに、「金-硫黄活性種」についてもこれまでにない知見が次々に得られており、結果の一部はすでに学会発表済みである。これは、当初の予定と同じかやや上回るペースで成果が出ていることを意味する。この他にも、硫黄を含まないものの金や銀を含む活性種について多くの知見を得た。よって、現時点でおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在順調に進展している「金-硫黄活性種」についての研究を、重点的に進めてゆく。得られたノウハウををもとに、パラジウムやロジウムなどの他の金属と硫黄との結合についての研究へと展開してゆく予定である。さらには、貴金属クラスターを触媒として 利用する場合のターゲットの大部分は有機化合物であることから、貴金属ー有機物活性種など、より生成が困難な化学種に向けてのチャレンジを進めてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の大部分は、当初の予定通り分光装置の維持運営費(超低温スパッタリング装置冷却用の液体窒素、および検出器冷却用の液体ヘリウム)として使用する予定である。現在、液体ヘリウムの供給が世界的に極めて逼迫しており、学内に液化設備を持たない静岡大学では、その価格の高騰と合わせて、研究遂行に極めて大きな障害となっているが、装置の高感度化や解析システムの更新に力を注ぐなどして、最大限の成果が出るように研究費を使用する。
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Research Products
(12 results)