2014 Fiscal Year Annual Research Report
内殻励起による選択的結合切断反応:超高速電子移動計測によるアプローチ
Project/Area Number |
23550017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 真一 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60304391)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 内殻励起反応 / サイト選択的結合切断 / 共鳴オージェ電子分光 / Core-hole clock法 / 自己組織化単分子膜(SAM) |
Outline of Annual Research Achievements |
内殻電子励起特有のサイト選択的結合切断反応が表面分子系で顕著に見出される要因として、「反応部位から基板への電荷の有効な散逸により二次的反応が極度に抑制される」との申請者らの仮説を検証するため、主鎖を導電性が高い芳香環に置き換えたメチルエステル修飾自己組織化単分子膜(SAM)を試料として用意した。高エネルギー加速器研究機構での飛行時間型イオン質量分析(TOF)測定から脱離イオン種毎の収量スペクトルを得たが、申請者が今回考案した選択性の解析手法を用いることで、各SAMにおけるイオン脱離の選択性を、反応メカニズムと関連付けて定量的に評価・比較することができた。 一方、各種SAM試料の炭素および酸素内殻励起領域における共鳴オージェ電子分光測定を広島大学の放射光HiSORで実施した。特にイオン化しきい値以下のπ*およびσ*共鳴励起状態でオージェ電子分光計測を行い、電子移動速度をそのオージェ遷移強度の分岐比から評価した。このことから、分子鎖の違い(芳香鎖か脂肪鎖か、および鎖長の違い)による電子伝導性の変化を評価することができた。 共鳴オージェ電子分光を利用したcore-hole clock法による高速電子移動速度の計測は、特定の共鳴励起状態で計測したオージェ電子スペクトルから、共鳴オージェ成分と励起電子の金基板への失活による正常オージェ成分とを抽出し、その成分比から励起電子の失活の速さ(電子移動速度)を見積る。有機分子の表面単分子吸着系ではこの共鳴オージェと正常オージェのスペクトル上のオーバーラップが大きいため、定量的な評価方法の検討が必要であった。本課題では、メチルエステル反応部位では炭素よりも酸素励起の方がそのオージェスペクトルの違いが明瞭であることを見出し、定量的な評価方法を確立することに成功した。そしてサイト選択的結合切断反応に相関した非常に速い電子移動速度を見積ることができた。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Covariance mapping of two-photon double core hole states in C2H2 and C2H6 produced by an X-ray free electron laser2015
Author(s)
M. Mucke, V. Zhaunerchyk, L.J. Frasinski, J.H.D. Eland, M. Larsson, L. Foucar, J. Ullrich, K. Motomura, S. Mondal, K. Ueda, T. Osipov, L. Fang, B.F. Murphy, N. Berrah, C. Bostedt, J.D. Bozek, S. Schorb, M. Messerschmidt, O. Takahashi, S. Wada, M.N. Piancastelli, K.C. Prince, and R. Feifel 他10名
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Journal Title
New Journal of Physics
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Nanoplasma formation by high intensity hard X-rays2015
Author(s)
T. Tachibana, Z. Jurek, H. Fukuzawa, K. Motomura, K. Nagaya, S. Wada, P. Johnsson, M. Siano, S. Mondal, Y. Ito, M. Kimura, T. Sakai, K. Matsunami, H. Hayashita, J. Kajikawa, X.-J. Liu, E. Robert, C. Miron, R. Feifel, J.P. Marangos, K. Tono, Y. Inubushi, M. Yabashi, S.-K. Son, B. Ziaja, M. Yao, R. Santra, and K. Ueda
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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