2013 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー多重共鳴法による励起状態ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
23550023
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
石渡 孝 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (40134811)
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Keywords | 光ー光二重共鳴法 / ヨウ素分子 / イオン対状態 / 自然放射増幅 / 硝酸ラジカル / 振電相互作用 |
Research Abstract |
ヨウ素分子のイオン対状態f'0g+(1D)に光―光二重共鳴遷移で励起した時、F'0u+(1D)状態への効率の良い緩和過程が存在する。この緩和過程はf'状態からF'状態への自然放出増幅に起因すると推測されるが、この過程を2つの視点、分光学的および動力学的な側面から検討した。第一に、F'状態からの紫外発光を検出すると、緩和で生じたF'状態の振動分布が観測できる。一方、この緩和過程を引き起こす自然放射増幅過程に伴う赤外光を検知すると、その効率を直接検出できる。両者は緩和過程を理解する上で相補的な関係にあるが、これらの実験結果は良く一致した。第二に、F'とf’状態のケイ光強度の時間変化を測定すると、f'状態のケイ光寿命はF'状態より長く、レーザー励起により2つの励起状態間には容易に反転分布が形成されることを明らかにした。 硝酸ラジカルの基底状態(X2A2')および第二電子励起状態(B2E')の電子構造を検討した。基底状態の振動状態を第二電子励起状態からのレーザー誘起ケイ光分散スペクトルおよびFT-IRスペクトルから解析した。D3hの対称性を持つ硝酸ラジカルは4つの基準振動をもつが、二つの縮退した振動モード(ν3、ν4)から生じるE'振電準位には第二励起状態との振電相互が顕著に見られた。一方、第二電子励起状態(E')をレーザー誘起ケイ光法で測定すると、スペクトルには構造のないブロードなバンドの上に、多くの回転線があらわれた。前者は基底状態や第一電子励起状態(A2E")の高振動状態との強いカップリングにより生じた状態密度の高い状態への遷移と推測できる。また、後者には等間隔なDoublet構造が数多く見られる。この間隔が基底状態のエネルギーの最も低い回転状態のスピン分裂の大きさに一致することやこれら遷移が示すゼーマン効果の測定から、この領域には複数の振電状態が数多く存在することが分かった。
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Research Products
(10 results)