2012 Fiscal Year Research-status Report
メソポーラス有機シリカ中の液体の構造とダイナミクス
Project/Area Number |
23550028
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 敏男 福岡大学, 理学部, 教授 (70158111)
|
Keywords | 中性子準弾性散乱 / 規則的メソポーラス炭素 / X線回折 / 水の構造 / 水のダイナミクス / 中性子スピンエコー / メソポーラス有機シリカ / 拡散係数 |
Research Abstract |
本年度は、Ph-PMO、TMS-Ph-PMO、およびOMC(Ordered Mesoporous Carbon)への水、メタノール吸着特性、低温水の熱挙動、細孔水のダイナミクスを測定した。 (1)Ph-PMOへのメタノール吸着・脱着等温線を測定した。ビフェニル(Bp)-PMOへの水吸着・脱着等温線を測定した。SBA-16中への水吸着・脱着等温線を測定した。 (2)Ph-PMO中の毛管凝縮水の中性子スピンエコー測定をラウエ・ランジェバン研究所(フランス)で、290~230Kで行った。また、Ph-PMO中のシラノール基の約8%をトリメチルシラン(TMS)で修飾して疎水性を高めたTMS-Ph-PMO中の毛管凝縮水の中性子スピンエコー測定を290~150Kで行った。中間散乱関数を現在解析中である。 (3)規則的メソポーラスカーボン(Ordered Mesoporous Carbon;OMC)への水吸着・脱着等温線を測定した。また、DSC測定から、OMC中の毛管凝縮水は290~140Kでは氷結しないことを明らかにした。 (4)OMC中の毛管凝縮水の中性子準弾性散乱実験を、J-PARCのBL02 DNA分光器を用いて、270~170Kまで測定した。跳躍拡散モデルを用いて解析して、並進拡散係数を求めた。また、並進拡散係数のアレニウスプロットから活性化エネルギーを求めた。これまで得られたPh-PMOやMCM-41 C14中の水の活性化エネルギーと比較検討した結果、疎水性界面であるOMC中の水は運動性が高まることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)Ph-PMOおよびTMS-Ph-PMO中の毛管凝縮水の中性子スピンエコー実験が終了した。さらに、OMC中の水の中性子準弾性散乱測定も終了した。 (2)Ph-PMO中の低温水のH/D同位体置換中性子回折は、平板セル材料のTi/Zrゼロ合金の入手に目途が立たず、実験ができなかった。 (3)Ph-PMO中の水のEPSR計算は、Ph-PMOのモデルを構築した。EPSR計算コードを作成して実験値との比較を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)Ph-PMO中の水およびTMS-Ph-PMO中の水の中性子スピンエコーデータを解析する。中間散乱関数を弾性散乱項と非弾性散乱項に分離して、拡張指数関数によりフィッティングを行い、緩和時間を求める。緩和時間の温度依存性から細孔水の集団運動を調べる。 (2)Ph-PMOおよびOMC中のメタノールの中性子準弾性散乱データの解析を跳躍拡散モデルで解析する。メタノールの拡散係数の細孔界面の疎水性に対する変化を調べる。 (3)TMS-Ph-PMO中の低温水のX線回折を行い、高密度水-低密度水転移の存在を調べる。 (4)OMC中の水およびメタノールの低温X線回折を行い、疎水性界面における液体の構造を調べる。 (5)Ph-PMO中の低温水の中性子同位体置換測定をJ-PARC NOVA分光器で行う。TiZrゼロ合金セルを設計・製作する。EPSR計算から、細孔中の水のクラスター構造を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内旅費:中性子実験(J-PARC、東海)3回 外国旅費:研究成果の発表。学会Water_Surface(フランス、des Houches)、EMLG/JMLG2013(フランス、Lille) 平成24年度に、Ti/Zr合金セルが製作できなかったので、J-PARCへの出張費と同位体試料購入費として繰越金(220,062円)が発生した。この繰越金は今年度に同位体試料購入とJ-PARC出張費に充当する。
|