2013 Fiscal Year Annual Research Report
メソポーラス有機シリカ中の液体の構造とダイナミクス
Project/Area Number |
23550028
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 敏男 福岡大学, 理学部, 教授 (70158111)
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Keywords | メソ細孔物質 / メソポーラス有機シリカ / メソポーラス炭素 / 細孔水の構造 / 細孔水のダイナミクス / X線回折 / 中性子準弾性散乱 / 中性子スピンエコー法 |
Research Abstract |
メソポーラス有機シリカとしてフェニル基PMO(Ph-PMO)(細孔径2.9 nm)、Ph-PMOのシラノール基をテトラメチルシラン(TMS)で修飾したTMS-Ph-PMO(2.7 nm)、メソポーラスカーボン(3.0 nm)、メソポーラスシリカMCM-41(2.1 nm)、および高分子ゲルSephadex G15の制限空間に吸着させた水とメタノールの熱挙動、構造およびダイナミクスを示差走査熱量測定、X線・中性子回折、中性子準弾性散乱、中性子スピンエコー測定から明らかにした。MCM-41細孔中の毛管凝縮水は220 K付近でFragile液体-Strong液体への動的クロスオーバーを示す。一方、単層吸着水では現れなかったので、動的クロスオーバーは細孔中心部のバルク水に近い水によることが明らかになった。細孔中の水の凍結温度や融解温度は細孔界面の性質にはよらずに細孔サイズに依存する。細孔界面の性質が疎水性になるにつれて、制限空間内の水分子の運動は大きくなり、その活性化エネルギーは小さくなる。これは、制限空間内の水が界面の水酸基と強い水素結合を形成するためである。Sephadex G15ゲル空間内の水は、半径が0.44 nmの空間内を自己拡散係数0.65 x 10-5 cm2/sをもつ局所運動をしている。制限空間内の水の四面体水素結合構造は、バルク水に比べて歪んでいる。さらに、界面が疎水性になると、構造の歪みが大きくなることも明らかになった。本研究で得られたメソポーラス物質と細孔内の液体の構造とダイナミクスの情報は、クロマトグラフィー、触媒、電池、ドラッグデリバリーシステムなどにおける機能発現機構を明らかにする上で重要な基礎的知見である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Thermal behavior, structure, and dynamics of low-temperature water confined in mesoporous organosilica by differential scanning calorimetry, X-ray diffraction, and quasi-elastic neutron scattering2013
Author(s)
M. Aso, K. Ito, H. Sugino, K. Yoshida, T. Yamada, O. Yamamuro, S. Inagaki, T. Yamaguchi
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Journal Title
Pure Appl. Chem.
Volume: 85
Pages: 289–305
Peer Reviewed
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