2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子内及び分子間エネルギー移動を起源とする光機能発現の理論的解明
Project/Area Number |
23550029
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石田 干城 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (10421950)
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Keywords | 理論化学 / 物理化学 / 生体分子 / 金属錯体 |
Research Abstract |
本研究課題の研究代表者は分子間及び分子内でのエネルギーの移動過程の問題に対して、生体分子内でのエネルギーの移動速度に関する研究と、分子間のエネルギー移動における分子間相互作用の効果に関する研究を並行して行った。特に極性溶媒中での光励起後の生体分子中における分子間のエネルギー緩和過程の研究に関連した解析手法を一部応用し、イオン液体中でのイオン間相互作用とエネルギー移動・緩和を研究した。これは研究計画の遂行中にエネルギー移動過程を光以外でも制御するような系として分子間相互作用の効果が顕著に表れるイオン性液体中でのエネルギー移動過程に関する研究が本研究課題の遂行にも極めて有効であることを見出したからである。具体的には分子内及び分子間のエネルギー移動過程について特に分子間相互作用の効果が期待されるイオン間相互作用下でのイオン液体中でのエネルギー移動・散逸の分子動力学シミュレーションによる研究を遂行した。研究結果より、特に室温においてイオン液体は通常液体では過冷却状態において出現する動的不均一性を示したが、これらに関する陽イオンと陰イオンの寄与は同様なものではなく、イオンの大きさやイオン価数といったイオン種の特徴が陽・陰イオン間相互作用エネルギーの緩和過程の違いに顕著に表れることが分かった。また中間散乱関数の解析より、動的不均一性は空間的な構造不均一性と強く相関することが示唆された。これらの成果は学術雑誌論文として掲載された。さらにこれらの研究結果より、分子内エネルギー移動過程をシミュレーションの方法と組み合わせる形で計算を実行することが可能であることを見出し、さらに方法論として発展させることが可能となった。
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