2013 Fiscal Year Annual Research Report
イソテルラゾール類のヘテロ環化付加を経る縮環ピリジン系アルカロイド骨格の構築
Project/Area Number |
23550039
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
嶋田 和明 岩手大学, 工学部, 教授 (10142887)
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Keywords | イソテルラゾール / ヘテロ環化付加 / 多置換ピリジン / Friedel-Crafts環化 / 縮環ピリジン類 |
Research Abstract |
本研究の課題はイソテルラゾール類とアセチレン系ジエノフィルのヘテロ環化付加による多置換ピリジン類の高位置選択的合成と更なる化学変換による縮環ピリジン系アルカロイド骨格の短段階合成である。 始めにジエノフィルとしての高い反応性が期待できるベンゾイルプロピオール酸エステルをジエノフィルとする1-アザアントラキノン骨格の新たな構築手法の検討を進めた。しかしながら現段階ではジエノフィルの合成に成功していない。 一方1-アザフェナントレン類については2通りの経路による合成を検討した。その第1は1-フェニル-4-トリメチルシリル-3-ブチン-2-オンをジエノフィルとして置換イソテルラゾールとヘテロ環化付加を行い、続いて環化付加生成物のベンゼン環とピリジン環を分子内アリールカップリング反応により結合させて目的骨格を構築する経路である。実際にこの経路によりヘテロ環化付加である置換ピリジンを単一生成物として収率良く得ることができた。しかし種々の検討にもかかわらず環化付加体からの分子内アリールカップリングの成功には至らなかった。それに対して第2の合成経路は2-オキソ-4-フェニル-3-ブチン酸エステルをジエノフィルとして用い、さらに環化付加生成物であるピリジン環の2位に導入されるベンゼン環へのエステル基の分子内Friedel-Crafts型環化により目的骨格の構築を行うものである。実際に後者の経路ではジエノフィルの合成、およびイソテルラゾールとのヘテロ環化付加が期待通りに進行し、単一生成物として置換ピリジンが得られた。さらにこの生成物に対するポリリン酸の作用により目的の1-アザフェナントレン骨格の構築を実現することもできた。しかし現段階ではFriedel-Craft環化の反応生成物の収率が中程度に留まっており、反応条件の改善による収率の向上が急務となっている。
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