2012 Fiscal Year Research-status Report
不飽和エステルを用いる連続的反応によるヘテロ環及び炭素環の合成研究
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23550054
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50182481)
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Keywords | α,β-不飽和エステル / エテントリカルボン酸 / ルイス酸 / テトラヒドロフラン / ピロリジン / ヘテロ環 / アリルエステル / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
単純な出発物質から複雑な分子を構築する新規反応を見出すことは、有機合成の重要な課題である。α,β-不飽和エステルのひとつであるエテントリカルボン酸エステルおよびアミドの高い求電子性を利用したヘテロ環合成を行った。 含酸素および窒素ヘテロ環化合物は、生物活性的に重要で、その合成法の開発は興味が持たれる。Snider, Roushは、エテントリカルボン酸アルケニルエステルの塩化鉄による分子内環化反応で、塩素置換含酸素ヘテロ環化合物を与える反応を報告しているが、末端アルケンであるアリルエステルによる環化の例はない。一方、ルイス酸による単純なアルケンのアルデヒドへの付加によるC-C結合形成(Prins反応)は知られているが、共役付加する反応は少ない。また同様の含窒素ヘテロ環合成も有用であると考えられる。 本研究では、反応性の高い共役付加受容体であるエテントリカルボン酸アリルエステルおよびアミドのルイス酸触媒による環化反応を調べた。その結果、エテントリカルボン酸アリルエステルおよびアミドの1-2当量のAlCl3, AlBr3, TiCl4, TiBr4等ルイス酸存在下での反応で、3,4-transハロゲン化2-オキソテトラヒドロフランおよび3,4-transハロゲン化2-オキソピロリジン誘導体がジアステレオ選択的に得られた。3,4-trans立体化学は、NOEから帰属した。3,4-trans体が優先的に生成するのは、ルイス酸が2分子関与する協奏的ハロゲン化-閉環段階によるものと推察する。環化生成物の水素化トリブチルスズによる塩素の還元反応も行った。 さらに、いくつかのアルキル置換アリル誘導体では、同様のルイス酸存在下での反応で、カチオン中間体を通ると思われる転位生成物が得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α,β-不飽和エステルのひとつであるエテントリカルボン酸誘導体の高い求電子性を利用する、ハロゲン化環化反応を開発できた。本反応により、生物活性的に重要な骨格である含酸素及び窒素ヘテロ5員環を合成することができた。計画に従い、さらに数多くの新規なα,β-不飽和エステルおよび類似体の反応剤について、効率的反応を試み、有機合成の新手法として発展させることを行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の最終年度であり、研究は当初の予定通り進行する。さらに研究を発展させるため、24年度の繰り越し金は、25年度消耗品、謝金の一部に充てて、合成実験を行う。また、これまでの成果を学術論文誌、学会等において発表しつつ問題点を整理し、研究の発展を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、ガラス器具などの消耗品および実験補助謝金を使用する。また、成果発表のための、旅費、学会参加費にも使用する計画である。
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Research Products
(8 results)