2013 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和エステルを用いる連続的反応によるヘテロ環及び炭素環の合成研究
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23550054
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50182481)
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Keywords | α,β-不飽和エステル / エテントリカルボン酸 / ルイス酸 / テトラヒドロフラン / ピロリジン / ヘテロ環 / アルケニルエステル / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
単純な出発物質から複雑な分子を構築する新規反応を見出すことは、有機合成の重要な課題である。α,β-不飽和エステルのひとつであるエテントリカルボン酸誘導体の高い求電子性を利用したヘテロ環合成を行った。 1.ピラゾリン誘導体は、生物活性的に興味ある化合物である。Huisgen双性イオンとこれまで報告されていないアルケンとの環化付加反応でピラゾリン環を合成する反応を検討した。エテントリカルボン酸エステルと、アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィンとの反応を行ったところ、高収率で修飾ピラゾリン誘導体が得られた。 2.含酸素および窒素ヘテロ環化合物は、生物活性的に重要で、その合成法の開発は興味が持たれる。エテントリカルボン酸アリルエステルのルイス酸触媒による環化反応を調べた結果、AlCl3, TiCl4等ルイス酸存在下での反応で、3,4-transハロゲン化2-オキソテトラヒドロフラン誘導体がジアステレオ選択的に得られた 3.最終年度の研究ではエテントリカルボン酸E/Zアルケニルエステルおよびアミド誘導体の環化反応における立体特異性を調べた。E/Zアルケニルエステルのルイス酸による反応で、それぞれ3,4-trans-テトラヒドロフラン-2-オンの2種類の立体異性体が得られた。生成物の3,4-立体化学は、それぞれNOEから推測された。2種類の環化生成物の脱クロロ化で得られた生成物は同一であった。これらの立体化学は、ルイス酸が2分子関与する協奏的ハロゲン化-閉環段階の反応機構の考察から、E体からは3S,4S,4-(R-1-クロロエチル)体およびその鏡像体、Z体からはそれらの4-(1-クロロエチル)基のエピマーが生成すると推察した。一方、E/Zアルケニルアミドは室温で徐々にエン反応による環化が進行する。ZnI2との反応では、立体特異的にヨウ素置換環化物が得られた。
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Research Products
(9 results)