2012 Fiscal Year Research-status Report
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23550057
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野元 昭宏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60405347)
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Keywords | 燃料電池 / 有機元素化学 / 非白金元素 / バナジウム / 錯体触媒 |
Research Abstract |
昨年度の研究では、合成に成功したバナジウム-タングステン、バナジウム-モリブデン複核錯体について、アルコール燃料電池としての機能を調べる目的で、酸素雰囲気下、水中での種々のアルコールの反応性を調べ、フェニル基を有するアルコールでは気体状酸素によって水存在下、良好に反応が進行し高い触媒回転数が得られたが、メタノールやエタノールなど一般的なアルコールでは反応が進行していなかった。これは、反応中心であるバナジウムの活性点をメタノールが架橋して塞ぐことによる失活と考え、錯体を反応系中で発生させ、脂肪族アルコールの酸素酸化が進行するか詳細に調べた。その結果、アルキル界面活性剤を共存させることにより、脂肪族アルコールの酸素酸化が中程度の収率で進行することが明らかとなった。今後、より高活性な条件を導出すべく反応条件を検討するとともに、触媒の活性点を解放可能な配位子について調査し、酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction; ORR)を良好に進行させる触媒を合成する。また、次年度に向け、研究計画に記載のフルオラス配位子の合成反応について、本年度の中期から予備検討をスタートさせた。研究代表者らのグループでは種々のヘテロ原子の導入反応を開発しており、その高い電気陰性度や各種溶媒への極端な不溶性から、通常では導入困難なフルオラス(ペルフルオロアルキル)置換基の有機合成化学的導入法について検討した。その結果、ヨウ化フルオラス化合物に対しヘテロ原子-ヘテロ原子単結合を有する化合物を共存させた光照射反応系を用いることで、不飽和結合に対し容易にフルオラス基を導入可能であることが明らかとなった。フルオラス置換基を有する錯体は三層界面を形成しやすいことが考えられることから、本年度はフルオラス配位子を有するバナジウム錯体についても合成を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に目標としていた燃料アルコールの良好な酸素酸化を可能とする触媒系を見出すことに成功し、アルコール酸化型燃料電池の新触媒開発に大きく前進した。この知見については、各種学会にて発表した。また、次年度に向けた新規配位子の合成法も確立した。 これらのことから、研究は順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、錯体の置換基効果を中心に化学合成を行う。現在、フッ素化合物による配位子合成と錯体形成を確認したことから、フルオラス置換基を有する錯体化合物群を合成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の2,957円については、継続的に研究を推進している中で発生しているもので、直ちにフルオラス合成用のヨウ化フルオロアルキルの購入費に充てる予定である。 研究計画、研究費の執行についての変更はない。
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Research Products
(10 results)