2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10109879)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分子内光環化付加反応 / 電荷移動相互作用 / リニアー型ベンゾトリキナン / アンギュラー型ベンゾトリキナン / ベンゾシクロオクタテトラエン / 1-シアノナフタレン / [3+2]光環化付加反応 / アリールアルキニル基 |
Research Abstract |
分子内に電子受容体として1-シアノナフタレン(1-CN),電子供与体としてシクロアルケンまたはアルキンを併せもつ化合物の分子内光環化付加反応を行い,以下の知見を得た。(1)1-CNの2位にシクロアルケニル基を炭素鎖3で連結した化合物に光照射すると,反応初期には1-CNの1,2-位とシクロアルケンが[2 + 2]環化付加体を与えた。ところが,長時間照射すると[2 + 2]環化付加体は出発物質に戻り,最終的に1-CNの2,4-位で[3 + 2]環化付加したリニアー型ベンゾトリキナン骨格をもつ化合物を選択的に生成した。5~8員環のシクロアルケンについて,いずれも効率よく光環化付加体を与えた。(2)一方,1-CNの4位でシクロアルケニル基を連結した化合物の光照射では,アンギュラー型のベンゾトリキナンを与えた。(3)1-CNの2位に5-アリール-4-ペンチニル基をもつ化合物の分子内光環化付加反応では,[2 + 2]環化付加したのち環拡大したベンゾシクロオクタテトラエン類とこれが渡環反応によって生じたリニアー型ベンゾトリキナンが生成した。酸素共存下でこの光反応を行なうと,中間に生じる1,3-ビラジカルが捕捉された1,2-ジオキソラン誘導体が得られた。(4)1-CNの4位で5-アリール-4-ペンチニル基を置換した化合物では,収率は低いもののアンギュラー型ベンゾトリキナンを主生成物として直接得ることができた。(5)ベンゾフェノンなどの光三重項増感剤を用いる増感実験ならびに酸素による消光実験によって,反応機構に関する多くの知見を得た。(6)マイクロリアクターを用いることにより,反応の効率を高め,副反応を抑制することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)当初目的としたアリールアルキンと1-シアノナフタレンとの分子内光環化付加反応は起こらなかったが,単純な[2+2]環化付加体の環拡大によって生じたベンゾシクロオクタテトラエンの渡環反応によって予想外の[3+2]環化付加体を得ることができた。(2)2位置換体と4位置換体でまったく異なる形式で反応が進行することがわかった。(3)マイクロリアクターを用いる光反応で,当初予測していなかった反応効率,反応選択性の向上が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)キラルな置換基を用いて,ジアステレオ選択的な反応の開発を図る。(2)反応機構の解明を図る。(3)マイクロリアクターによるさらなる反応効率ならびに選択性の向上を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:薬品,溶媒などの購入 700,000円旅費:外国旅費;IUPAC国際光化学シンポジウム(ポルトガル) 300,000円 KJFP(韓国) 100,000円 国内旅費;光化学討論会他 100,000円
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Research Products
(17 results)