2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550058
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 一彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (10109879)
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Keywords | 分子内光環化付加反応 / [3+2]光環化付加反応 / 電荷移動相互作用 / エキシプレックス / ベンゾトリキナン / ベンゾシクロオクタテトラエン / アリールアルキニル基 / ベンジルアニリン類 |
Research Abstract |
分子内に電子受容体(A)および電子供与体(D)を含む化合物の分子内光環化反応を行い,以下の知見を得た。 (1)1-シアノナフタレン(1-CN)の2位に5-アリール-4-ペンチニル基をもつ化合物のベンゼン溶液に>280 nm光を照射すると,1,2-位で[2+2]光環化付加した後,環拡大したベンゾシクロオクタテトラエン誘導体(BCOT)およびBCOTのシクロオクタテトラエン環が渡環した後,1,3-ビラジカルが閉環したリニアー型ベンゾトリキナン(LBTQ)が生成した。反応初期にはBCOTが主生成物として得られ,長時間の光照射でLBTQの生成が増大した。 (2)三重項光増感剤を用いてBCOTに光照射すると,効率よくがLBTQが生成した。また,酸素が十分存在すると,中間に生じると考えられる1,3-ビラジカルが酸素で捕捉された1,2-ジオキソラン誘導体が得られた。 (3)(1)と同条件下,1-CNの4位に5-アリール-4-ペンチニル基をもつ化合物に光照射すると,良好な収率でアンギュラー型ベンゾトリキナン化合物(ABTQ)がBCOTを経由することなく直接生成した。 (4)上記の光化学反応をフロー系マイクロリアクターを用いて行うと,BCOT,LBTQあるいはABTQがそれぞれ生成した。その効率ならびに選択性については現在検討中である。 (5)同様に,フロー系マイクロリアクターを用いて,N-o-クロロベンジルアニリンのアセトニトリル溶液に光照射すると,アニリノ基からo-クロロベンジル基への光誘起電子移動が起こって,フェナンスリジンが生成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)大阪府立大学から奈良先端科学技術大学院大学に所属が変わったため,引っ越しや研究体制を整えるのに時間を要した。 (2)すでに合成された化合物の光化学反応は一部行っているが,新たな出発物質の合成に手間取っている。 (3)マイクロリアクターを用いる光化学反応の装置に工夫を要しており,かなりの時間を費やしている。 (4)これまでに得られた成果の一部を学術論文として発表するための準備を行い,近々投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)これまで展開してきた芳香族化合物を電子受容体(A),アルケンまたはアルキンを電子供与体(D)とする組合わせを,芳香族化合物をD,アルケンをAとした組合わせの光化学反応を行う。 (2)分子内にアニリノ基をもつ芳香族炭化水素(置換ベンゼンあるいはナフタレン類)の光環化反応によってアザへテロ環化合物の合成を行う。 (3)上記光化学反応について,フロー系マイクロリアクターを用い,反応効率・選択性の向上をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(16 results)