2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23550058
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 一彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 客員教授 (10109879)
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Keywords | 分子内光環化付加反応 / エキシプレックス / ヘテロ環化合物 / トリキナン骨格 / アルキニル基 / 1-シアノナフタレン / フロー系マイクロリアクター / ベンゾシクロオクタテトラエン |
Research Abstract |
前年度につづいて分子内に電子受容性置換基と電子供与性置換基を含む化合物の分子内光環化付加反応を行い,以下の知見を得た。 (1)アリール基として新たな1-シアノ-2-(5-アリール-4-アルキニル)ナフタレン誘導体を合成し,これらのベンゼン溶液に>280 nm光を照射すると,反応の初期段階では,分子内[2+2]光環化付加反応を経て環拡大が起こり,ベンゾシクロオクタテトラエン誘導体が生成した。さらに,光照射を続けると,渡環反応が起こってシクロプロパン環を含むリニアー型のベンゾトリキナン類を好収率で与えた。本反応系に酸素を共存させると,1,3-ビラジカル中間体が酸素で捕捉された1,2-ジオキソラン環を含むベンゾトリキナン類が得られた。1-シアノナフタレンに由来する蛍光は5-アリール-4-アルキニル基によって効率よく分子内消光され,アリール基がp-メトキシフェニル基のとき,長波長側に分子内エキシプレックスに起因する弱い発光が観測された。 (2)ベンジル基の2-位にクロロ基をもつベンジルアニリン誘導体のアセトニトリル溶液に少量の水酸化ナトリウムを加えて,>280 nm光を照射すると,脱塩化水素が起こってフェナンスリジン誘導体が生成した。この反応をフロー系マイクロリアクターを用いて行うと,収率の向上が見られた. (3)9-位に(6-アニリノヘキシル)基をもつフェナントレンのベンゼン溶液にフロー系マイクロリアクターを用いて>280 nm光を照射すると,分子内で環化付加した含窒素多環式化合物が生成した。
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