2013 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性超原子価ヨウ素による不斉酸化反応の機構探究に基づく展開
Project/Area Number |
23550059
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
藤田 守文 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (00275314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 昭弘 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (70358365)
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / 不斉合成 / 光学活性化合物 / 酸化 / 反応中間体 |
Research Abstract |
安価で入手しやすい乳酸を不斉源として組み込んだ光学活性超原子価ヨウ素試薬を用いて、4-オキシ-1-イソクロマノン生理活性天然物の不斉合成を指向して、反応開発を行い、実際に天然物の全合成を達成することに成功した。 通常の酸化剤を用いて、オルトアルケニル安息香酸エステル基質を酸化すると、5員環ラクトン形成によりフタリド生成物が得られてしまう。それに対して、超原子価ヨウ素を酸化剤に用いると、選択的に、6員環ラクトンが形成されイソクロマノン生成物を得ることができる。これまで、4-オキシ-1-イソクロマノン天然物の不斉合成の成功例は、数少なく、本手法により、これらの全合成が大きく前進した。 実際、研究期間全体を通して、4-ヒドロキシメレイン、モノセリン、フサレンチン類縁体、(12R)-12-ヒドロキシモノセリン、(12S)-12-ヒドロキシモノセリン、以上5種類の天然物の不斉合成を行うことができた。その際、申請者らが開発した乳酸側鎖を持つ光学活性超原子価ヨウ素による立体制御が重要な役割を果たした。 最終年度には、用いる光学活性超原子価ヨウ素前駆体を触媒量に減らし、反応系中で過酸によって再酸化する触媒的酸化反応の効率向上を目指した。オルトアルケニル安息香酸エステルを反応基質に用いて、触媒的不斉酸化反応を行い、共酸化剤による直接酸化を抑制し、触媒酸化サイクルの効率を定量的に見積もった。その結果、乳酸側鎖部分がヨウ素と相互作用することによって、触媒効率向上に重要な役割を果たしていることが判明し、条件の最適化により8割程度まで効率を上げることができた。さらなる効率向上を目指して、今後、検討する必要がある。
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Research Products
(13 results)