2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550061
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
加部 義夫 神奈川大学, 理学部, 教授 (40214506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ポリシラノール / 水素結合ネットワーク / 細孔性材料 |
Research Abstract |
ポリヘドラルシルセスキオキサン(POSS)の末端にシラノールを導入すると、シラノールの四面体型水素結合により、結晶状態で細孔性のゼオライトと同じtrdタイプの水素結合ネットワークを形成しベンゼンなどを抱接できることを見出している。今年度はPOSSの末端に直線型水素結合を形成するカルボン酸やボロールを導入することで、ゼオライトのもうひとつのタイプであるto型の水素結合ネットワークの形成を検討した。[RuHCl(CO)(PCy3)2]を用いてオクタビニルシルセスキオキサン(ViT8)とp-(ジメトキシボリル)スチレンおよび2-ニトロベンジル-4-ビニルベンゾエートのSilylative couplingを行い、続いて加水分解することで目的物を合成した。しかしいずれも不溶性固体となってしまった。 水素結合を利用した分子カプセルを目標にカリックス[4]アレ-ンのポリシラノール誘導体の合成法を検討した。p-t-ブチルカリックス[4]アレーンを塩化アルミニウムを用いて脱tBu化し、続くフェノール基をメチル化し後、NBSを用いて芳香環の臭素化を行った。そしてリチオ化、ヒドロシリル化、加水分解で目的の化合物を合成したが配座異性の存在で構造決定には至っていない。 ポリシラノールからシロキサン結合からなるCOFを合成するのに適用可能な反応を検討した。トリスペンタフルオロフェニルボラン、B(C6F5)3を用いたヒドロシランとアルコキシシランからの脱炭化水素によるシロキサン結合生成反応を利用して、新規かご状シロキサンの合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポリシラノールのネットワークについてテトラフェニルメタン誘導体は現在水素結合ネットワークが可能なモノシラノールから新たにジシラノールやトリシラノールなどの多官能性のシラノールを有する化合物の合成を検討している。さらにポリへドラルシルセスキオキサンのポリシラノールについても新たにボロールやカルボン酸などの水素結合性の化合物の合成を検討しており、その合成ルートの開発に時間がかかっている。 同様にカリックス[4]アレーンのポリシラノール誘導体の合成はいまだ合成されておらず、フェノール基側にシラノールを導入する合成ルートが不成功の終わり、現在反対の芳香環のtertブチル側に導入するルートを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリシラノールがつくるMOFやCOFネットワークの方向に研究を展開する。MOFに関しては金属シラノレートが作る結晶状態でのネットワークの検討を開始する。もっとも簡単な金属としてはアルカリ金属塩が考えられ、ポリシラノール化合物と水素化アルカリ金属との反応で安定に合成できるこを確認している。しかしアルカリ金属でにはイオン性が強く細孔性ネットワークよりも、細密充填構造をとると予想されるため、適度の可逆反応性をもつ遷移金属塩を探索してゆく。 一方ポリシラノールからつくるCOFとしては、その相手にアルコールやアルコキシシランが考えられるが、従来のゾルゲル反応でには反応制御が難しいと予想される。そこで23年度に検討したB(C6F5)3を用いたヒドロシランとアルコキシシランからの脱炭化水素によるシロキサン結合生成反応を利用できないか検討を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主として試薬(金属触媒、カリックスアレーンなど)溶剤、グローブボックス用のArなどの不活性ガスの消防品の購入の使用予定である。
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