2012 Fiscal Year Research-status Report
シレンおよびゲルメンの新規合成法の開発と基本的性質の解明
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23550063
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Research Institution | Kurashiki University of Science and the Arts |
Principal Investigator |
仲 章伸 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (00289232)
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Keywords | ケイ素 / ゲルマニウム / シレン / ゲルメン |
Research Abstract |
平成24年度は、平成23年度で得た知見をさらに発展させ、1つのトリメチルシリル基をtert-ブチル基に置き換えた(tert-ブチル)ビス(トリメチルシリル)アシルシランを合成し、tert-ブチルアセチレンと熱反応を行うことにより新規なシラシクロブテンを生成させることに成功した。さらに合成したシラシクロブテンを250℃で熱反応を行うことにより、異性化反応が進行することも明らかにした。また密度汎関数法を用いて、遷移状態の構造やそれぞれの反応の活性化エネルギーなどを計算し、その反応機構を詳細に検討した。このことにより、新たなケイ素-炭素二重結合(シレン)の合成法とその反応性を明らかにすることができたと考えている。 また、平成23年度で合成法を確立したアシルポリシリルゲルマニウムの熱反応を行い、ゲルメンの新規合成法の開発を行った。具体的には、まず2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンとの熱反応を行い、高収率でゲルマシクロヘキセンが得られることが分かった。さらに、アクロレインやメチルビニルケトンなどのエノンとの反応も行い、ゲルマオキサシクロヘキセンの合成、およびその異性化反応についての反応機構を明らかにすることができた。ケイ素の場合と同様に、計算化学的手法による検討も行い、実験事実をサポートすることに成功した。このことにより、ゲルマニウム-炭素二重結合(ゲルメン)の新たな合成法の開発にも成功することができた。 今年度得られた知見により、含ケイ素および含ゲルマニウム化合物の新たな合成ルートを確立することができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケイ素-炭素二重結合化学種(シレン)については、新たに置換基としてtert-ブチル基を導入したアシルポリシラン類についても、前駆体として使用することができるということを明らかにすることができた。 また、ゲルマニウム-炭素二重結合化学種(ゲルメン)に関しても、アシルポリシリルゲルマンを原料として用いることで、熱をかけるだけでゲルメンが生成していることを見出すことができた。 さらに、合成したシレンおよびゲルメンの不飽和化合物との反応性について明らかにすることができており、基本的性質の解明という意味でも研究が進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ケイ素-炭素二重結合化学種(シレン)については、アシルポリシランを原料としてさらに研究を推し進めていきたいと考えている。 ゲルマニウム-炭素二重結合(ゲルメン)に関しては、アシルポリシリルゲルマンだけでなく、フェニルエチニルポリシリルゲルマンを合成し、その反応を検討することにより、新たな領域を開拓していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シレンおよびゲルメンの前駆体を合成するためのクロロシラン類およびクロロゲルマン類など試薬の購入に大部分をあてたいと考えている。また、遷移金属錯体との反応も検討したいと考えているので、その購入にも使用したい。最後の成果報告の製本のための印刷費も計上している。
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Research Products
(2 results)