2012 Fiscal Year Research-status Report
金属貯蔵反応場を与える再利用可能なかご型ホスフィンスルフィド錯体触媒の開発
Project/Area Number |
23550068
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
會澤 宣一 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (60231099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀野 良和 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (30447651)
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Keywords | ホスフィンスルフィド / かご型ホスフィン / 炭素―炭素カップリング / 触媒 / リサイクル |
Research Abstract |
本研究では、種々の炭素鎖の長さを持つ、空孔サイズの異なるかご型ホスフィン多座配位子をテンプレート反応で合成し、これを硫黄化あるいは酸化することによって、後周期低酸化数金属および前周期金属を空孔内に貯蔵でき、反応基質に対して立体選択性を有する新規かご型錯体触媒を合成する。さらに、かご型錯体を有機ポリマーに担持させることによって、希少元素の枯渇問題に対応できる半永久的にリサイクル可能な固体高分子錯体触媒を開発する。 本年度は、まず、かご型ホスフィン配位子の前駆体である四座ホスフィン-ホスファイト配位子の合成を実施した。ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンオキシドと2-ブロモフェノールからAtherson-Todd反応により2-ブロモフェニルビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンオキシドとしたのち、オルトリチオ化による転位反応で四座ホスフィン-ホスファイト配位子の前駆体であるフェノール誘導体を合成した。 つづいて、かご型ホスフィン配位子の前駆体である四座ホスフィン配位子の合成を実施した。これまでの合成では、パラジウム触媒によるビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンオキシドのカップリング反応の段階で、副生物である単座ホスフィン配位子フェニルビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンがかなりの量で混合してしまい、目的物との分離が困難であったため合成法を変更し実施した。ニッケル触媒存在下、ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンオキシドを還元し得られるビス(4-メトキシフェニル)ホスフィン-ボラン錯体と2-ブロモフェニルトリフラートとのカップリング反応により(2-ブロモフェニル)ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィンを合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目には、かご型ホスフィン配位子の前駆体である四座ホスフィン配位子のライブラリー合成を終了させる予定であったが、現在でもライブラリー合成まで達していない。多段階合成のいくつかの工程で、既知の反応を利用できず反応条件検討を行ったり反応開発を行ったりと紆余曲折が生じ、合成計画の大幅な変更を余儀なくされたことが主な原因である。現在は、鋭意検討の末に、これらの問題点を克服した方法により配位子合成を進めている。また,四座ホスフィン-ホスファイト配位子合成は,四座ホスフィン配位子の合成よりも容易であり、着実に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を加速させるために、合成容易な四座ホスフィン-ホスファイト配位子の合成を優先的に実施し、かご型配位子の早急な合成を目指す。また、新たな合成計画に基づき合成している四座ホスフィン配位子も同時に実施し,ライブラリー合成を年度前半までに達成させる。年度後半には、パラジウム(II)を用いたテンプレート反応によって、合成した四座配位子から、かご型ホスフィン錯体触媒を合成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
配位子合成がやや遅れていたため、錯体合成に費やされる費用が減じ、次年度に繰り越された。上述のように、今年度は錯体合成の実現と触媒反応への応用を計画しているため、繰越額と今年度申請した金額を合算して、合成試薬、触媒反応用試薬、NMR重水素化溶媒、窒素ガス、ガラス器具類の購入に充てる。
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Research Products
(10 results)